ディズニー映画のような恋がしたいと願っている少女の前に現れたのは、背は高いけれど頼りなさそうな少年。彼女はその出会いを運命と信じ彼を追いまわす。物語は、女子高生と高校中退のフリーターのすれ違う思いを描く。彼女はいい感じに両想いになれると予感していた。友達も応援してくれていた。なのに、予期せぬものを見てしまった。一方で、彼は不思議な魅力を持つ年上の女に翻弄されてしまう。期待通りにならない現実、それ以上に己の足がしっかりと地についていない不安が絶え間なく襲ってくる。どこか違うような気がするがこれでいいような気もする。そんな、「今」を生きるのに精いっぱいのハイティーンの日常がリアルだ。特にヒロインと友人たちの会話がディテールまで気が利いていて非常に興味深かった。
橋の上で倒れたケンイチを介抱したハルコは、落ちていた身分証を頼りに彼の家を訪ねる。ケンイチはナンパした女・マユミが忘れられず、彼女を追い回す。マユミは売春婦だった。
イベント会場でケンイチとマユミがキスしているところを見てやけになってしまったハルコは、声をかけてきた男とファーストキスをするが、途中で怖くなって逃げだす。マユミを抱いたケンイチはますます彼女にのめり込んでいく。何度も交差しているのになかなか絡み合わないハルコとケンイチの人生が、オリンピック特需の建築ラッシュに沸く東京湾岸地域で繰り広げられる。まだ、未完成の高層ビル群は、成長途上である彼らの未熟さを象徴していた。中止含みの’20年11月の観点で見ると、それはまさに未来への不安にほかならない。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
17歳の誕生日を迎えたハルコは親友のカエデにパーティを開いてもらう。建設中のマンションの見晴らしのいい部屋に無断で入り込み、サプライズゲストが招待される。そこでも、ハルコは自分の気持ちがわかってもらえないことにいら立ち怒りを爆発させる。持て余してしまう厄介な感情、それが恋というものであると気づく日は近い、ハルコの背中をそっと押してやりたくなった。
監督 瀬田なつき
出演 山田杏奈/鈴木仁/滝澤エリカ/成海璃子/森田望智/大塚寧々
ナンバー 190
オススメ度 ★★★
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