こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社

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噂には聞くが、本当の姿は誰も知らない。関係者と思われる人物にあたってもはぐらかされる。古い文献では確かに存在している。でも今ではそれを証明するすべはない。答えは闇の中、だからこそ秘密結社なのだ。カメラは高度に洗練された組織と莫大な影響力を持つと言われているイルミナティの実態に迫る。教会が禁じた、古代ギリシア・ローマ・エジプト時代の科学的な考え方。神ではなく人間の理性にこそ真実は宿るという思想は18世紀の欧州では啓蒙思想の先駆けとなった。そして教会の欺瞞に気づいた創始者は、知識の解放が人間を自由にする最善の手段と信じ、同志を集めていく。メンバーは進歩的な貴族や官吏、大学教授といった知識人階級。だが、希少性を高めすぎたゆえに崩壊の道を辿ったのなら皮肉以外の何物でもない。

18世紀ドイツ・バイエルン地方、イエズス会士で大学教授だったヴァイスハウプトはイルミナティを創設、自由と平等、理性と友愛を旨とする社会を目指して活動を始める。

新メンバーのスカウトやイニシエーションが映像で再現される。髑髏や骸骨、剣と血といった「いかにも」な設定は、組織の神秘性を高めるための演出なのだろう。それでもイルミナティの一員になるという覚悟が問われているようだ。組織はピラミッド型の構成で大きく3つの階層に分かれ、それぞれが細分化されている。昇格するにはそれなりの実績を残さなければならない。目ぼしい人材をフリーメーソンから引き抜く現実もある。やはりそこは人間のやること、高邁な理想と鉄の掟だけでは組織の運営は難しいとうかがえる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

イルミナティはたった9年で解散に追い込まれるが、会員たちは地下に潜って欧米社会に絶大な影響力を残しているといわれている。しかしそれはイルミナティ信者の妄想。もはやオカルトでしかない。難解な言葉を羅列したインタビューを見て明白なとおり、研究者も実はあまり理解していないのだろう。「イルミナティについてはよくわからない」ことだけはよくわかる作品だった。

監督  ジョニー・ロイヤル
出演  ジョニー・ロイヤル/ジョセフ・ウェイジズ/ジェームズ・チスカニック/チャーリー・ギリエン/アダム・ケンダル
ナンバー  22
オススメ度  ★★


↓公式サイト↓
https://illuminati-movie.com/