血統だけではダメ。厳しい修行を積んでも足りない。奥義を体得するためには、絶対に折れない強固な意志と邪悪なものに対する強烈な怒りが必要。物語は、魔界との最終決戦に戦士として選ばれた若者が、苦難の道を経て成長していく過程を描く。生まれついての刻印が彼の運命を決定している。だが、彼に受け継がれているはずの才能は一向に開花しない。師匠に見捨てられ自分でもあきらめかけた時、守るべきものの存在が彼を一回り大きくする。拳と脚、剣、飛び道具だけでなく、氷や炎、レーザービームまで自在に操る能力者たちのバトルはアイデアに富み、次から次へと繰り出されるユニークな格闘の連続は息つく間もない。20世紀後半、日本のアクション映画をけん引してきた真田広之が、圧倒的な存在感で伝説の忍者を演じていた。
負け続きの総合格闘家・コールは、魔界からの刺客サブ・ゼロに襲撃されたところをジャックスに救われる。コールは女戦士ソニア、ギャングのカノウとともにライジンの寺院を訪ねる。
ライジンのもとでコールは厳しいトレーニングを積むが、戦士たちが体得している奥義がなかなか発現しない。挑んでは叩きのめされることの繰り返し、先輩戦士たちは見守ってくれるが、ライジンはコールに戦士の資格はないと見放す。コールは不屈の根性を見せるでもなく、破門宣言をあっさり受け入れてしまう。一方、カノウは高潔なライジンの弟子たちをそりが合わず、態度を変えたりする。このあたりの展開は安易だが、作品の肝は戦士たちのバトルをいかに刺激的に見せるか。その意味では帽子投げ戦士と有翼女戦士の決着は思わず快哉を叫んだ。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
家族が襲われたのがきっかけで奥義に目覚めたコールは、集団戦ではなく4組のタイマン勝負に出る。それぞれが因縁の相手を打ち負かし、最強のサブ・ゼロに挑むコール。氷を自在に操るサブ・ゼロにコールはかなわない。そこに現れた復讐の鬼。突っ込みどころは満載だが、和洋中CGを効果的に取り込んだ殺陣は斬新で見ごたえがあった。
監督 サイモン・マッコイド
出演 ルイス・タン/ジェシカ・マクナミー/ジョシュ・ローソン/浅野忠信/メカッド・ブルックス/ルディ・リン/チン・ハン/ジョー・タスリム/真田広之
ナンバー 110
オススメ度 ★★★
