こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・ファブル 殺さない殺し屋

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街を歩くチンピラを狙撃し一発で仕留める。音も気配もなく背後から忍び寄り喉を掻っ切る。物語は、過去の因縁に囚われて命を狙われる伝説の殺し屋が、襲い掛かる武装集団を1人も殺さずに危機を切り抜けようとする姿を描く。ボスからの命令で殺人技は封印している。そのハンディを背負う中で、敵は10人以上のプロを送り込んでくる。主人公は、走り、よじ登り、飛び、落下しながらも、接近戦と銃撃戦を繰り返す。そんな、圧倒的なスキルを要求されるアクションは非常にユニークで思わず身を乗り出すほどだった。一方で、猫舌で世間知が足りずコミュニケーション能力も低い。たまに口にする言葉は真実をついていたりする。“いっしょうけんめい頑張っている人を助けるのは変態か” というひと言が、彼の正直さを象徴していた。

小さなデザイン事務所で働く佐藤は、チラシ配達先で4年前に取り逃がした宇津帆と出くわす。さらに、同じころ命を助けたヒナコが車いす生活をしながら宇津帆のオフィスで働いていた。

NPOを隠れ蓑に恐喝を繰り返す宇津帆。行く当てもなく彼のもとにいるヒナコ。腕利きの用心棒もいる。殺し屋としての本能が佐藤に危機を告げるが、佐藤は逃げも隠れもせず堂々と宇津帆たちの挑戦を受ける。普段は茫洋とした雰囲気を漂わせ殺気を完全に消し去っているのに、一度スイッチが入ると超人的な身体能力を見せる。そのギャップが楽しかった。相棒で監視役のヨウコもまた腕が立ち、不利な体勢から同業者を締め上げるシーンは痛快だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

宇津帆に呼び出された佐藤は彼のオフィスに出向く。仕掛けられた罠は想定内、あっさり回避すると宇津帆の配下が集団で佐藤に襲い掛かる。集合住宅の廊下から部屋、階段から足場、隣接する建物との隙間などを立体的に駆使した戦闘シーンは手に汗握るスタントの連続。広い場所と狭い場所では身体の使い方を変えその場に応じた格闘術を見せるなど、細部にも配慮が行き届いている。まあ、平手友梨奈が大暴れするところも見たかったのだが。。。

監督  江口カン
出演  岡田准一/木村文乃/平手友梨奈/安藤政信/山本美月/佐藤二朗/堤真一
ナンバー  111
オススメ度  ★★★*


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