こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ワイルド・スピード ジェットブレイク

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勝負所でエンジンにニトロをぶち込んで加速する。高級車の周りにセクシー美女がたむろする。おなじみの公道レースと、ナイスバディが音楽に合わせてくねくねするシーンは今回もお約束通り。物語は、世界を支配する力を持つ機器を強奪しようと目論む独裁国家の手先となった弟のせいで、諜報の世界に戻らざるを得なくなる男の苦闘を描く。ジャングルから地雷原、繁華街でのカーチェイスから磁力を使った車上争奪戦、果ては宇宙空間に飛び出すほどのサービス精神は、ばかばかしさも極めれば立派なエンタテインメントとして成り立つことを証明する。冒頭からラストまで見る者を思考停止に追い込みながらますます派手になる破壊と暴走は、久しぶりに頭を空っぽにして映画を楽しむ快感を楽しめた。珍しく主人公と仲間以外の男たちの毛髪量が増えていた。

墜落した輸送機からハイテク機器・アリエスの回収に向かったドミニクは、30年前に決別した弟・ジェイコブと再会。殺し屋となっていたジェイコブは、ドミニクから機器を奪って逃走する。

ジェイコブが父を殺したとドミニクは信じ、袂を分かった兄弟。だが、真実を知らされるにつれカーレース中に事故死した父への信頼が揺らぎ始める。父が本当に愛していたのは自分ではなくジェイコブだったのか、ドミニクは若き日の記憶を手繰りながら、それでも父の思いを理解しようとする。このあたりドミニクの闇の部分にスポットが当てられ、なぜ彼が仲間や家族をあれほど大切にするのかが明らかにされる。尊敬していた父には隠し事をされ、信頼していた弟には裏切られる。そんな悲しい出来事が,ドミニクの対人関係の距離感に現れていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

アリエスとその起動キーを巡って、ドミニクの一派はジェイコブと対立を深める。その先には、さらにお互いに黒幕がいて彼らを操っている。荒唐無稽な展開の割に世界観は複雑で、レギュラーのキャラクター以外にも重要な役割が与えられていたりするから交通整理が大変。次回作は電気自動車も登場するのだろうか。

監督  ジャスティン・リン
出演  ビン・ディーゼル/ミシェル・ロドリゲス/タイリース・ギブソン/クリス・“リュダクリス”・ブリッジス/ジョン・シナ/ナタリー・エマニュエル/ジョーダナ・ブリュースター/サン・カン/シャーリーズ・セロン/ヘレン・ミレン/カート・ラッセル
ナンバー  139
オススメ度  ★★★


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