パイロットが急死した。燃料は漏れている。GPSも自動操縦機能も効かず、無線も通じない。物語はインド洋上空を飛ぶ小型機に取り残された男女のサバイバルを追う。視界に入るのは見渡す限りの海と水平線。どんなに目を凝らしても陸地は見当たらない。やがて巨大な雷雲が迫り、灰色の霞に飲み込まれていく。女は遊び半分で操縦を習っただけ、男はまったく知識はない。気まずい関係だったふたりは、やがてお互いに対する信頼を取り戻し、必ず生き残ろうと誓う。次から次へと襲い掛かる危機に体を張って立ち向かう彼らの姿は、絶体絶命のピンチでもあきらめなければ打開策は見つかると教えてくれる。ただ、飛行中のプロペラ機の主翼上で風圧に耐えるには、スポーツクライミング選手並みの握力が必要なはず。ヒロインはそんなタイプには見えないが。。。
友人の結婚式に出席するため、小島に向かうセスナに乗ったサラ。同乗者は別れたばかりのジャクソンひとり。微妙な空気が流れる中、ふたりは協力して目的地に向かおうとする。
サラに2度もフラれたジャクソンは不機嫌そのもの。はしゃいでいるサラを白い目で見ている。それでも一度ならず恋人だった女、だからこそ捨てたことを後悔させてやりたい。パイプの穴をふさぐために勇気を奮って機外に出たりする。一方のサラも必死で操縦桿を握って機体を安定させようとする。なくなった燃料の代わりにラム酒を補充するが、本当にラム酒でエンジンが回るのだろうか? 墜落したら死亡、脱出用パラシュートもない。逃げ場がない状況の中でセスナを飛ばし続けるふたりは、異常な事態こそが人間の本性を明らかにすると訴える。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やっと見つけた小さな陸地に向けて高度を下げるセスナ。エンジンは止まり滑空するしかない。その先に待ち受けているさらなる苦難。そして水面を見上げる不気味な視線。ツッコミ所も少なくなかったが、短い上映時間に詰め込まれたアイデアの数々は、つかの間、猛暑を忘れさせてくれる。それにしてもこの邦題はセンスがいい。
監督 ミカエル・マルシメーン
出演 アリソン・ウィリアムズ/アレクサンダー・ドレイマン/キース・デビッド
ナンバー 141
オススメ度 ★★★