こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エターナルズ

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人類に知恵と文明を与え、その進歩を見守ってきた。その結果、人類が戦争と殺戮を繰り返しても、介入は許されずただ傍観するだけ。物語は、宇宙由来の能力者たちの葛藤を描く。人類を邪悪な怪物から守るためにだけ闘ってきた。怪物の絶滅で存在価値はなくなりチームは解散、一市民として社会に溶け込んでいる。しかし、数百年ぶりに怪物がよみがえると再びメンバーが集結する。ところが、強力なリーダーは不在で、新しいリーダーは力不足、個性豊かなメンバーを統率できないままさらなる危機が襲ってくる。人類に対しては神のように振舞ってきてその自覚もあったのに、突然知ってしまった衝撃の真実。自分たちはいったい何者なのかとアイデンティティクライシスに陥るヒーローたちの苦悩が新鮮だ。

死滅したはずのディヴィアンツがロンドンに現れ、セルシ、イカルス、スプライトの3人が撃退する。彼らは世界各地に散らばったエターナルズを招集するためリーダーのエイジャックを訪ねる。

エイジャックは死体で見つかり、セルシがリーダーを継ぐが、彼女の能力ではディヴィアンツに対抗できない。戦闘能力にたけたイカルスはセルシのために命を張るが、元恋人同士ということもあり微妙な距離感。そんな関係のまま世界に散らばった残りのメンバーを説得して回る。その間もディヴィアンツの襲撃を受けるが、CGが踊りまわっているという感じ。ディテール豊かに描き込まれるほど、その情報量の多さがかえってリアリティを損なっているという逆説的な映像になっている。筋肉男の “口噛み酒” はいくら美味でもやっぱり遠慮したい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

生き残った8人のエターナルズはディヴィアンツとの最終決戦の前に、自分たちを作った存在からの声を聴く。超人と呼ぶべきパワーを持つ彼らもさらに上の階層の手駒でしかない。より良い宇宙のために人類を犠牲にすべきか、それとも人類を守るべきか。性別・人種・性的指向・障害者etc. 多様性に満ちたメンバー構成もまた、答えのない問いを発していた。

監督     クロエ・ジャオ
出演     ジェンマ・チャン/リチャード・マッデン/アンジェリーナ・ジョリー/サルマ・ハエック/クメイル・ナンジアニ/リア・マクヒュー/ブライアン・タイリー・ヘンリー/ローレン・リドロフ/バリー・コーガン/マ・ドンソク
ナンバー     201
オススメ度     ★★*


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