こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ジョン・ウィック コンセクエンス

古典的東洋武具展示室で見つけたヌンチャク。初めて手にするのだろう、使い方がわからず不器用に振り回すだけだ。だが、何人もの敵と交戦するうちに、遠心力を利用すれば有効な打撃を与えられると理解し、ブルース・リーには程遠いが数十秒の闘いでたちまち動きが洗練されていく。身近にあるモノなら何でも利用するという適応能力こそが超一流たる所以なのだろう。物語は、巨大組織にひとりで立ち向かう殺し屋の運命を追う。防弾仕様のタイトなスーツに身を包み、殴られ蹴られ切られ刺され被弾しても決してひるまず襲い掛かってくる武装集団を蹴散らしていく姿は血と殺戮の様式美に満ち、己の流儀を貫く彼の意志の固さを強調する。リアリティよりエンタメ性を重視したアクションはこの作品のノワールな世界観を優美に再現していた。

主席連合の幹部・グラモンはジョンの粛正を決意、NYのホテルを爆破する。大阪に逃亡したジョンは旧友のシマヅに保護を求めるが、そこに盲目の刺客・ケインが現れる。

グラモンはもう一人黒人の凄腕賞金稼ぎを雇いジョンを追わせる。賞金稼ぎは自分の取り分を増やすために、ジョンを仕留めるチャンスがありながらグラモンの手下を始末したりする。ケインも本心ではジョンと闘いたくはない。ジョンの命を狙う敵、できるなら殺し合いを避けたい敵、様子をうかがいながら鼎の軽重を問う敵。さまざまな敵味方入り乱れるバトルシーンが息継ぐ間もなく展開するが、刀や弓矢、手裏剣を常備しているシマヅの勢力がグラモンの軍団を迎え撃つ “大阪の陣” がいちばん見応えがあった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジョンは苦境を乗り切る唯一の方法としてグラモンとの決闘を示唆される。その条件として巨漢のキーラを殺せと命じられる。最初は子分を戦わせて時間稼ぎし逃げようとするキーラ。ところがジョンとの一騎打ちになると、ただのデブと思っていた彼が予期せぬ敏捷な動きを見せる。パワーのみならずハイキックや柔道技など素手の格闘でも圧倒し、ジョンが力尽きそうになるシーンには興奮した。

監督     チャド・スタエルスキ
出演     キアヌ・リーブス/ドニー・イェン/ビル・スカルスガルド/ローレンス・フィッシュバーン/真田広之/シャミア・アンダーソン/ランス・レディック/リナ・サワヤマ/スコット・アドキンス/クランシー・ブラウン/ナタリア・テナ/イアン・マクシェーン
ナンバー     177
オススメ度     ★★★*


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