こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

グランツーリスモ

シミュレーターでステアリングを握れば、ネット上では敵なしのテクニックを誇る。だがそこでは、重力も暑さも感じないしクラッシュしてもリセットするだけでいい。物語は、ドライビングゲームソフトの成績優秀者が、現実のカーレースに参戦する姿を描く。かつて夢を追っていた父は堅実に生きろと言う。ゲームの世界で食っていくには厳しいとわかってはいるが、今はまだあきらめたくない。そんな時舞い込んだ実車レースのオファー。初めて乗るレーシングカーに最初は戸惑うが、一度操るとそれはゲームで慣れ親しんだ感覚とそれほど変わらない。それでも、肉体的負荷に耐えるためにはハードなトレーニングをこなさなければならない。転向1年ほどで一流レースに出場できるほどこの世界は甘くないと思うが、実在のモデルがいることには驚いた。

新チームを発足させたダニーはコーチにジャックを招聘、優秀なゲーマーをレーサーに育てるアカデミーを創設する。ヤンは試験に合格、9人の練習生と共に厳しい指導を受ける。

それぞれネトゲ界では有名なゲーマーばかり、だがみな実車の経験はない。才能がないとジャックが判断するとすぐに合宿所を追い出される。厳しい競争を勝ち抜いたヤンはひとりプロのレースに出場する。周囲はみな油とゴムの臭いにまみれた頑固なオッサンたち、ゲーマー出身のヤンに対し敵意や不快感をむき出しにする。それでも実績を積むうちにヤンは周囲に認められ信頼を勝ち得ていく。このあたり、ヤンの人生は順調で、ゲーマーとリアルレーサーの差がこれほどまでに小さいのかと思わず眉に唾をつけたくなる。ゲームで何度も体験したコース、恐怖心さえ克服すれば案外うまくいくものなのだろうか?

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

「アライブフーン」という日本映画の換骨奪胎ではあるが、メジャースタジオが総力を挙げた映像は圧倒的にエキサイティング。日本独自に進化したドリフト走行も嫌いではないが、300キロを超えるスピードを体感させてくれるショットの連続に思わず身を乗り出してしまった。

監督     ニール・ブロムカンプ
出演     デビッド・ハーバー/オーランド・ブルーム/アーチー・マデクウィ/ジェリ・ハリウェル/ジャイモン・フンスー
ナンバー     176
オススメ度     ★★★*


↓公式サイト↓
https://www.gt-movie.jp/