こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

死霊館のシスター 呪いの秘密

聖職者が次々と惨殺されていく。それは文字通り悪魔の所業。調査を命じられた女は悪魔が次に向かった場所を特定し対決の準備を進める。物語は、聖遺物を手に入れ自らの力を増大しようと企む悪魔を阻止する修道女の奮闘を描く。霊や悪魔が視える特別な能力を持つ彼女は母の思い出を胸に苦痛に耐える。聖遺物の隠し場所は今や寄宿女学校となっていて、男手がひとり分しかない。狡猾な悪魔は彼に取り憑き、腕力体力で劣る少女や老婆を歯牙にかけていく。不気味な物音を立て不穏な空気を醸し出し、十分な不安と恐怖を煽り立てたのちに突然姿を見せる。悪魔の登場の仕方はまさしく伝統的で、人間の心の弱さを衝いてくる。その “タメ” をたっぷりと取った映像は次の展開がほぼ予想できるほど定石に則っていた。

フランスのカトリック教会で神父が火あぶりにされる。調査に向かった修道女・アイリーンは悪魔の目的地を女学校と特定、そこに隠された「聖人の目玉」を狙っていると推測する。

「聖人の目玉」が校内のどこに埋められたかを知らない悪魔は用務員のモリースに探させている。いじめられっ子のソフィーに近づき、立ち入り禁止の礼拝堂を探らせたりする。その際、ソフィーを怖がらせるギミックを何度も見せるが、彼女を脅す必要はあるまい。その他、ドアの向こうで存在を主張したり、いじめっ子たちの前に象徴的な姿で暴れたりするなど、悪魔は決して合理的な行動はとらない。街頭スタンドに並んだ雑誌のページが次々とめくれ呪われた修道女の姿になっていくシーンは興味深かった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

「聖人の目玉」を掘り出したアイリーンだが、悪魔の反撃にあって奪われる。それをソフィーが取り返すが校内の鐘楼に追い詰められる。どこまでが悪魔の物理的なパワーで、どこからが偶然なのか。そんな判断をするのは野暮というものだが、それでも神が世界を支配していた時代の価値観をいまだに引きずっている悪魔の頭の古いこと。悪魔は恐れに付けこむ、怖がらなければ無力なのだとこの作品は訴える。

監督     マイケル・チャベス
出演     タイッサ・ファーミガ/ジョナス・ブロケ/ストーム・リード/アナ・ポップルウェル/ケイトリン・ローズ・ダウニー
ナンバー     192
オススメ度     ★★*


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