こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

デビルクエスト

otello2011-07-29

デビルクエスト SEASON OF THE WITCH

ポイント ★★
監督 ドミニク・セナ
出演 ニコラス・ケイジ/ロン・パールマン/スティーヴン・キャンベル・ムーア/クレア・フォイ/スティーヴン・グレアム
ナンバー 161
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


教会の影響力は絶大で聖職者の言葉は絶対的な重みを持っていた時代、異教徒は虐殺の対象となる。だが、非力な女子供の命まで奪ってしまう“聖戦”に疑問を抱いた戦士は悪魔と戦う旅に出る。映画は、そんなふたりの騎士が“魔女”と疑われた少女を移送する過程で様々な試練を乗り越え、本当の敵を打ち負かすまでを追う。ところが、そこで描かれる世界観は安っぽく、映像表現も緊張や驚きとはほど遠い生ぬるいもの。物語の構成も直線的で、彼らが遭遇する危機も手に汗握るほどでもない。結局、何を見せたかったのかよくわからない作品だった。


十字軍に参加したベイメンとフェルソンは戦に倦み戦列を離れる。流れ着いた小さな町で、ふたりはペスト流行の原因とされる魔女の嫌疑いをかけられた少女を、人里離れた修道院に運んで裁判を受けさせるよう命じられる。


少女を乗せた馬車には彼らのほかに神父と騎士、ガイドと少年が付き添い、一行は険しい山に入っていく。それぞれ少女に対する思惑を胸に秘めている風に見えるが、人物の造形が浅いために誰にも感情移入は不可能。道中唯一の見せ場となるつり橋のシーンも、ほとんどひねりがなく、ただビクビクしながら渡るのみ。少女の腕力が尋常ではないことは証明されたが、彼女の謎めいた言動だけでは後半に興味をつなぐのは難しい。


◆以下 結末に触れています◆


その後、深い森で狼の牙にかかったガイドを失ったりするが、ベイメンとフェルソンは少女を修道院に無事送り届ける。そこもペスト禍で修道士たちは全滅、しかし悪魔の力でゾンビとなって彼らに襲い掛かる。さらに少女に憑りついていた悪魔が本性を現して地獄を再現しようとするのだが、気の抜けたコーラのようなアクションに終始する。魔女裁判と蘇った絞首死体が神父を襲うプロローグは後の展開を期待させるおぞましさを内包していただけに、尻すぼみの感は否めない。