こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ゴジラ-1.0

一歩踏み出すごとに足は地面にめり込み、巨大な尻尾の一閃でビル群をなぎ倒す。逃げ惑う群衆を容赦なく踏み潰し、砲撃してくる戦車は議事堂ごと熱線で焼き尽くす。敗戦から復興中の街を再び瓦礫の山にする恐るべきパワーに驚嘆した。物語は、南の海からやってきた超生物と人間の闘いを描く。死ぬべき時に死ねず仲間を見殺しにしたことがトラウマになっている復員兵は、己の運命を呪いながらも守るべきもののために生きるという希望を見つける。だが愛する者を失った時、覚悟を決める。お国のためではない。自らの誇りを取り戻すために命を懸けるのだ。夢中になれる仕事と同じ思いの仲間が協力する環境が人生を豊かにするとこの作品は教えてくれる。

太平洋戦争末期、特攻兵の敷島は孤島に不時着、そこでゴジラと呼ばれる恐竜のような生物に襲われる。その後核実験で巨大化したゴジラは、一路東京を目指す。

ゴジラ対策本部に身を投じた敷島は、科学者の野田が発案した計画にキーパーソンとして加わり、一度海に消え再び上陸したゴジラを深海域に誘い込み海中深く沈めるための囮となる。その間、闇市で知り合った娘・典子と赤ちゃんを自宅に引き取り面倒をみる敷島。ところが若い男女が同居しているのにふたりの仲はもどかしいほど進展しない。出会いからしてかなり強引な状況だったが、ゴジラとの闘い同様、恋愛もきちんと作戦を練ったうえで実行しないと成就しないことを敷島は知るべきだ。この時代、有楽町駅付近に人が飛び込めるような深い水場があったのだろうか。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

プロローグにおける基地襲撃シーンのカメラワークやゴジラの口の中の機雷を銃撃するのはスピルバーグ作品へのオマージュ、神木隆之介が名前を訊いたり浜辺美波と同居したりするなど既視感を覚える設定には遊び心もうかがえる。ただ、音響がクリアかつ立体的に再現されるほど細密なリアリティを追求したVFXは薄っぺらく見え、出演者がスタジオのスクリーン前で演じているのが透けて見える。現代の技術ではこれが限界なのか。

監督     山崎貴
出演     神木隆之介/浜辺美波/山田裕貴/青木崇高/吉岡秀隆/安藤サクラ/佐々木蔵之介
ナンバー     198
オススメ度     ★★★


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