こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

GANTZ PERFECT ANSWER

otello2011-04-25

GANTZ PERFECT ANSWER


ポイント ★★*
監督 佐藤信
出演 二宮和也/松山ケンイチ/吉高由里子/本郷奏多/綾野剛/伊藤歩/田口トモロヲ/山田孝之
ナンバー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています


何のために戦うのか、誰のために戦うのか。理由もわからずガンツの世界に放り込まれた主人公と彼の仲間は、命じられるままに「星人」たちを倒していくうちに、その答えを見つけだそうとする。最初は自分が生き返るのが目的だったのが、やがて友人を生き返らせるのがゴールに変化する。運命は自らの手で切り開いていく、協力すればよい結果を得られる“お約束”のもと、一緒に命がけで戦って彼らは学び、そして絆が生まれる。ところが前編から予想される展開を見事に裏切り、続編はさらに混迷の度合いを深めていく。


モデルの映莉子は目覚めると小さなガンツを握っていた。指令通り4人の男女を殺し始める。玄野は相変わらずガンツにとらわれの身ながら、加藤の弟の面倒を見つつ多恵との微妙な関係を続けている。ある日ガンツに異変が生じ、黒服星人との戦いに一般人が巻き込まれる。


一方でガンツの正体を探る公安刑事が黒服星人たちとコンタクトをとったり、映莉子のターゲットはガンツ卒業者だったり、偽物の加藤が現れたりと、ガンツルールの破綻が始まる。その上星人ではない多恵が標的になったりと、ますます物語の整合性は崩れ、ガンツメンバーの中にも亀裂が生じる。何でもアリで何が起こるか分からない。そんな中で玄野の加藤や多恵に対する気持ちと、玄野と助け合う元コンビニ店主らの「人のために生きよう」という気持ちは本物。殺伐とした雰囲気の中で、“守るべきもの”を持つ人間の強さが際立っていく。


◆以下 結末に触れています◆


地下鉄車内で繰り広げられる黒服星人たちとの壮絶な集団バトルは、圧倒的なスピード感とスタイリッシュな映像で視覚を圧倒する。どうやら黒服星人はガンツに「復讐」を目論んでいるようなのだが、やはり因縁は明らかにされないまま。結局、映画は問いかけるばかりで説明は一切しない。この世の不条理に明確な答えなどない、だが玄野の自己犠牲と記憶を消された多恵に思いを打ち明けるラストシーンは、確かにこれだけは信じることができる「PERFECT ANSWER」だった。