呼び出されればすぐに行くし、ベッドに誘われれば断らなかった。カレシ・カノジョの関係になっていると思っていたのに、返ってきた言葉は「つきあっていたっけ?」。物語は、女にだらしない写真家に撮られたデータを消すために、彼の元カノと今カノが共闘する姿を追う。すぐ女に手を出す男だと気づいた今カノは、元カノの話にいちいち共感する。やがて意気投合した2人は共犯関係になっていく。軽薄な男、振り回される女。本当は濃密な人間関係を求めているのに、なかなか自身をさらけ出せず寂しさばかりが募っていく。そんな、都会に暮らす若者たちの孤独と停滞した日々が刺激的な瞬間に変わっていく過程が斬新だ。これ見よがしにカメラを持ち歩いて「写真を取らせて」と会話のきっかけを作る、こんなナンパをする男が今でもいるのだろうか?
SNSで莉子の存在を知った桃は彼女に接近、健太朗のパソコンに保存された自分の写真を消すのを手伝ってくれと頼む。まずは、健太朗の家の合い鍵を作るためにゾンビ映画作戦を実行する。
図書館司書とダンサー、別世界で生きまったく接点がなかった桃と莉子だが、健太朗を尾行するうちに彼のゲスぶりを目の当たりにしていつしか被害者同盟のようになっていく。まったく価値観が違うからこそお互いに思いのたけをぶつけられるのだろう。やがて芽生えていく友情。ピカピカの人生を歩んでいるような莉子にも葛藤はあり、地味な毎日を送る桃にもストーキングする粘着力がある。健太朗を嵌めるために試行錯誤する2人が楽しそうなのが印象的だった。秘密と非日常の共有が信頼を強めると彼女たちの行動は教えてくれる。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
無事ミッションを達成した桃と莉子だったが、桃の本当の目的が明かされたり、出会う前からお互いを知っていたりと、その後も複雑なパズルのような展開が待ち受けている。それは予想もしない方向に向かい驚きの連続ではあるが、二転三転するうちにどこか不自然さが湧き出てくるのも否めない。無理に多様性に結びつけなくてもいいのでは。。。
監督 城定秀夫
出演 松本穂香/玉城ティナ/渡邊圭祐/不破万作/片岡礼子/白川和子
ナンバー 1
オススメ度 ★★★
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