こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

otello2012-09-10

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

監督 本広克行
出演 織田裕二/深津絵里/ユースケ・サンタマリア/柳葉敏郎/伊藤淳史/内田有紀/小泉孝太郎/小栗旬
ナンバー 224
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

中国人が誤発注した大量の缶ビールを必死で隠したり、事件に陳腐な名をつけた挙句へたくそな字で清書したり、再雇用指導員が弁当代わりに勝手にビュフェを開いたり…。これらのシーンは、もしかしたら大笑いする「お約束」なのか。TVシリーズからの思い入れのあるマニアならば、それぞれのキャラクターがいかにもやらかしそうな“愛すべき失敗”と、目を細めているにちがいない。映画は、不祥事の隠匿を図る警察トップと、彼らの犠牲となって切り捨てられようとする末端の刑事の葛藤を通じて正義とは何かを問うていく。その過程でキャリア官僚と手足に過ぎない所轄刑事の厳然とした身分の差が浮き彫りにされていく。

湾岸署管内で銃殺事件が連続して起きる。犯行に使われた拳銃は押収品で、警察官の関与を疑う上層部は真相のもみ消しと早期解決のため、鳥飼を湾岸署に送り込んでくる。青島たちは少ない情報の下で捜査を続けるが、そこに真下の息子誘拐の報せが入る。

鳥飼は容疑者をでっち上げ、青島に誤認逮捕・強制自白の濡れ衣を着せ退職に追い込もうとする。やがて6年前の少女誘拐殺人事件との関わりが明らかになっていくが、私怨を晴らすために無関係な青島を巻き込むのはいかがなものか。所詮、警察庁若手キャリアが唱える正義など、警察を自分たちの居心地の良い組織にしたいだけ。そんなエゴに振り回される青島たちは哀れを超えて滑稽に見えてくる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

今回も事件そのものよりも、警察内部の人間関係、歪な命令系統、保身に走る幹部と泥をかぶる下っ端という構図に変わりはない。その中で規定に忠実な青島はもどかしいまでにサラリーマン的だ。「ダーティハリー」のように警察バッジを投げ捨てるくらいの気概があれば頼もしかったのだが。それにしても、退職したその夜に東京を引き払って田舎に帰ろうとするすみれの行動の素早さには唖然としたが、バスジャックまでしでかすとは。あんな荒唐無稽なオチでもファンは納得するのだろうか。。。

オススメ度 ★★

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