こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

コレクター

otello2013-06-12

コレクター THE FACTORY

監督 モーガン・オニール
出演 ジョン・キューザック/ジェニファー・カーペンター/ダラス・ロバーツ/メイ・ホイットマン/ソーニャ・ヴァルゲル
ナンバー 141
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

雪に閉ざされた街、消えた街娼たち、発見されない死体、巧妙に仕組まれた罠。連続失踪事件を担当する刑事は進捗しない捜査に苛立ちを隠しきれない。物語は拉致した女たちを地下室に閉じ込め己の子を産ませて大家族を作ろうとする異常な男と、彼を追う刑事の姿を描く。その過程で自分の娘を誘拐された刑事は怒り、憤るが、なぜか警察の一歩先を行く犯人の尻尾をつかみきれない。過去に例を見ない犯罪、プロファイリングできないなか時間だけが過ぎていく焦燥感をリアルに再現する。

ニューハーフ娼婦殺害事件が発生、マイクは相棒のケルシーと共に証言を集めるが、決定的な手がかりは得られない。そんなときマイクの娘・アビーも失踪、犯行手口から同一犯の仕業と断定する。

アビーをさらった男・カールは他にも2人の娼婦を監禁し出産を計画、決して力づくでレイプはせず“パパ=カール”を頂点とする“家族”として振る舞うことを徹底的に叩き込んだ上で服従させている。女たちはもはや逃げる意思はなく、むしろカールの歓心を買うのに腐心する。娼婦という家族から見捨てられた孤独な女たちに、家族の幻想を抱かせて安心感を植え付けて支配しているのだ。奇妙で歪んだ人間関係は洗脳といっても過言ではなく、臨月の女は早く出産したがり、もう一人の女は早く妊娠しようとする。それでもアビーは刑事の娘らしく、絶対にくじけない心の強さと機転でマイクの救出を待ち続ける。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

謎を一つずつ解決しつつ真犯人に迫っていく構成はミステリーの王道だが、落ち着きのないマイクのキャラクターのせいで映像自体がぎこちなくなっている。さらにSUVを飛ばして現場に向かうシーンも、一刻を争うのは理解しているが単に危険な運転をしている風にしか見えず、スリルとは程遠い。そして予想もしなかった大どんでん返しは、“してやられた”レベルには達していない。意味ありげなラストは復讐を予感させてくれたが。。。

オススメ度 ★★

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