監督 オリヴァー・ストーン
出演 テイラー・キッチュ/アーロン・テイラー=ジョンソン/ブレイク・ライヴリー/ジョン・トラヴォルタ/ベニチオ・デル・トロ/サルマ・ハエック/デミアン・ビチル/エミール・ハーシュ
ナンバー 12
批評 ネタばれ注意！ 結末に触れています
やられたらやり返す。相手が古典的な脅迫の手口を使うのならば若い彼らはアイデアとチームプレーで対抗する。社会をドロップアウトし凶悪さを売り物にする犯罪者たちと、洗練された手段でなるべく敵を作らずに稼ぐ若者、物語はそんな新旧の麻薬組織の対立を軸に世代間の違いを強烈に意識させる。すべてはカネ次第、恐怖で部下を統率するメキシコ人。建前は平和主義、仲間との友情と信頼のネットワークが強固な米国人。血と銃弾にまみれた犯罪のプロにスマートな戦術で挑むITジェネレーションが新鮮だ。だだ、いかにもカリフォルニアの風を感じさせる主人公たちより、ヘビのしつこさを持つ殺し屋に扮したベニチオ・デル・トロの方が圧倒的な存在感を示していたが。
アフガン帰りの元傭兵・チョンと植物学に詳しいベンは高級大麻でまたたく間に財を築き、メキシコの麻薬カルテルの女ボス・エレナからの提携話を持ちかけられる。断ると、2人の共通の恋人・Oを誘拐され、渋々取引に応じる。
チョンとは“fuck”、ベンとは“make love”とOが2人とのセックスを表現するように、彼らは肉体と精神と愛の三位一体。男2人と女ひとり、このふた昔前の男女の構図は今となっては懐かしいが、魂のレベルで信じあっており、過去のどんな作品で描かれてきた関係よりも結束は強い。必ずOを無事に取り戻す決意をしたチョンは武器の扱いに習熟したた戦友を集め、ベンも頭脳集団と共に秘策を練る。抜群のチームワークでエレナの資金源を襲い殺し屋を手玉に取っていく展開は痛快で小気味よい。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
だが、仏教に心酔し暴力を嫌うベンが図らずもエレナの弁護士の処刑に手を下したことから、より血なまぐさくなる。もはやきれいごとは言っておられず、チョンもベンもカルテルと同じ土俵に立たなければOを奪還できない。野蛮なやつらに対しては本当に野蛮にならざるを得ないのか、そのあたりから映画はスローダウンする。あくまで偽装と欺瞞で応戦するという選択肢もあったと思うのだが。。。
オススメ度 ★★*
