恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム Om Shanti Om
監督 ファラー・カーン
出演 シャー・ルク・カーン/ディーピカー・パードゥコーン/アルジュン・ラームパール/シュレーヤス・タラプデー/キラン・ケール
ナンバー 24
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
親友と語り合う将来の夢、抑えきれぬ衝動に悶々とする恋、我が子の無事と安全を祈る母の愛、己の成功のためには他人を踏み台にする欲望、夫の裏切りへの失望、そして恨みを晴らすための復讐。日常非日常のさまざまな場面における喜怒哀楽を、詞を口ずさみダンスで表現する。映画は、全編コミカルで大げさな演出と華やかでノリのよい楽曲に彩られ、ただ視覚と聴覚から入ってくる刺激に対して心をオープンにして受け止めれば、それだけで現実の憂さを忘れさせてくれる。まさしく娯楽の王道を行く作品、旺盛なサービス精神に舌を巻く。
ボンベイ撮影所の端役俳優のオームはスター女優・シャンティとふとしたことで知り合い、一方的に彼女に熱を上げる。オームは必死でシャンティの歓心を買おうとするが、シャンティと大物プロデューサー・ムケーシュの重大な秘密を盗み聞きしまう。
体全体を柔らかくくねらせ腰を激しく左右に動かし手足をしならせる、インドの古典舞踊を元に現代風にアレンジされたユニークな振り付けが目をくぎ付けにする。特に、シャンティを演じたディーピカー・パードゥコーンの挑発する視線と微笑、しなやかで力強くそれでいてエキゾチックでエロティックな踊りは、まるで不思議の国にいざなっているような強烈な魔力を放つ。カットが変わるごと、シーンが進むごとに新たな発見と驚きに満ちた彼女の魅力は、思わず息をのむほど神秘的だ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
その後、ハリウッド進出を目指すムケーシュは実は妻であるシャンティの存在が足かせとなり、妊娠中の彼女を殺害。偶然居合わせたオームはシャンティを救おうとするが、彼も命を落とす。30年後、生まれ変わったオームがムケーシュに天誅を加える過程は「オペラ座の怪人」風にまとめられ、血と憎しみの饗宴もまたクライマックスにふさわしいスケール。これぞインド映画の底力、3時間近い上映時間を牽引し続けるパワーに圧倒された。。。
オススメ度 ★★★*