監禁探偵
監督 及川拓郎
出演 三浦貴大/夏菜/津田匠子/杉村蝉之介/甲本雅裕
ナンバー 138
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
手足を縛られた女、途方に暮れる男。優位に立っているはずがいつの間にか立場が逆転する。豊富な知識と巧みな話術で女は男を手玉に取り、やばい状況にいることしか理解できていない男はパニックに陥る。密室の会話劇、カメラは言葉に仕込まれた棘と毒、そしてその力がいかに人間を動かすかを克明にとらえていく。物語は殺人事件に居合わせた男が、現場に戻ってきた女を監禁するが、いつしか協力して真犯人を探す姿を描く。体の自由を奪われた女は頭をフル回転させ、思考がフリーズした男は彼女の言いなりになるしかない。不運な出会いをしたふたりが同じ目標に向かって打ち解けていく過程は、恋愛にも似たスリルとテンションを感じさせる。
あるモデルの部屋を監視していた亮太は彼女が襲われるところを目撃、あわてて駆け付けるがすでに死んでいた。亮太はそこで鉢合わせしたアカネを失神させ、自室のベッドに拘禁する。目覚めたアカネはとっさにシチュエーションを判断し、亮太の焦りを見抜く。
洞察力に富んだアカネはすぐに亮太のプロフィルを言い当てるが、亮太にはアカネの素性がわからない。モデル仲間と言いながらハッキングの手口は鮮やか。アカネは亮太の心理的弱点を突き、早々と主導権を握る。さらに残された被害者のスマホから様々な情報を抽出し、犯人像と動機を絞り込んでいく。ところがそのプロセスは小さな証拠や手がかりが伏線となって真相につながっていくミステリーの王道からは離れ、ひたすらスマホのデータを元にネット上を徘徊するばかり。限られた空間を舞台にしたゆえの動きの乏しさが裏目に出てしまった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
その後、刑事が聞き込みに来たり、正体不明のおばさんがアカネに警告を与えたりと、亮太にもアカネにもお互いに隠している過去がまだまだありそう。このあたりを少しずつ明らかにしていくうちに事件の全貌が見えてくるのだが、意外な犯人というよりも、とってつけた結末にしか思えなかった。
オススメ度 ★★