こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ハード・ラッシュ

otello2013-06-14

ハード・ラッシュ CONTRABAND

監督 バルタザール・コルマウクル
出演 マーク・ウォールバーグ/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ベン・フォスター/ルーカス・ハース/ケイト・ベッキンセイル
ナンバー 96
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

犯罪に手を染めているにもかかわらず覚悟が乏しく、脅しに屈し裏切ってしまう。何とかごまかそうとするが、結局ツケは自分に回り、身近な者にまで危害が及んでいく。映画はそんな人間の弱さに深く切り込んだ上で、彼らに翻弄されながらも大胆な発想と行動力で窮地を突破しいていく男の活躍を描く。せっかく足を洗ったのに汚さなければならない葛藤、家族が襲われる恐怖、そして怒りを爆発させつつも冷静に一発逆転を狙うしたたかさ。タフでクールで愛情豊かな主人公をマーク・ウォルバーグが熱演する。貨物船という巨大な迷路のような空間をうまく生かした映像は、立体的な広がりで視覚を楽しませてくれる。

元密輸屋のクリスはギャングのブリックスから義弟・アンディの負債を押し付けられる。偽札輸入で返済を企てたクリスは貨物船でパナマに向うがトラブル発生、地元ギャングの名画強奪を手伝う羽目になる。

その過程で、アンディは偽札購入資金でコカインを買い、親友と信じて妻子を預けていたセバスチャンが妙な動きをする。米国を離れた貨物船の中、家族が脅威にさらされても何もできないクリスは苦悩に苛まれる。ところが完全に当初の計画が狂っても、破れかぶれともいえる強引さで逆境を跳ね返そうとするクリスは決してあきらめない強い意志に満ち溢れ、不可能を可能にしていく。また、貨物船といった小さな閉鎖社会において絶対的な権限を持つ船長とセキュリティ担当、現場の作業員の厳格な身分制度が新鮮だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

クリスはなんとか偽札とコカインを帰りの貨物船に積み込むが、船長に嗅ぎ付けられる。さらなる嘘と船長の罠、二重の絶体絶命のピンチ、だがそこでもクリスは奇抜なアイデアで切り抜ける。いちばん値打ちのある密輸品がさりげなく扱われているところも小気味よかった。このジャンルの作品は二枚目俳優が主役を張るとコミカルに走るかスタイリッシュにキメるのが定石だが、あえてリアルな暴力描写と泥臭い演出に徹したのは、マーク・ウォルバーグのイメージゆえか。。。

オススメ度 ★★*

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