こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エクスペンダブルズ ニューブラッド

万全の準備で臨んだのに、待ち伏せされていた。親愛なるボスが戦死した。情報が洩れている。裏切り者がいる。疑心暗鬼の中で新たな任務に就いた傭兵たちは、それでも最後まであきらめない。物語は、武装グループに奪われた核起爆装置を奪還しようとする傭兵軍団の活躍を描く。輸送機から派手にランディングする戦闘車、飛び交う銃弾と砲弾、スピーディなカーチェイス、狭い船内を走り回るバイク、そしてナイフと素手の格闘。あらゆる武器・小道具と身体を駆使したアクションは息つく間もなく次々に展開し、俳優たちはスクリーン狭しと暴れまわる。ただそれらのシーンはスリルやスピード感が乏しく、ただ火薬を浪費しているだけ。もう少し緊張感や臨場感を持たせてほしかった。まだジェイソン・ステイサムにはスタローンの後釜はハードルが高い。

リビアでの作戦に失敗してリーダーのバーニーを失った傭兵部隊。ジーナを中心に再結成され、今度は東アジアに展開中の輸送船を襲撃するが、あっさり全員捕虜にされる。

任務から外されたクリスマスはバーニーの敵を討つためひとりで輸送船に乗り込みジーナたちを解放しようとする。迷路のような甲板と船内、圧倒的な戦闘能力で敵の見張りを始末していくクリスマス。そこで繰り広げられる銃撃戦も雑であっと目を見張るようなアイデアはない。こんな荒っぽい仕事に若い女が2人も参加して武装兵をなぎ倒していくが、いかにもジェンダー配慮な感じがするだけで、男くささをぶち壊す。せっかくトニー・ジャーとイコ・ウワイスという超人的身体能力を持つ格闘技の達人をキャスティングしているのなら、2人の決闘を見たかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

数えきれないほどの命が消耗されたあと、欲に目がくらんだ裏切り者が正体を現し傭兵部隊を貨物船ごと爆破しようとする。すると、驚きのどんでん返しが待っている。そしてとってつけたようなオチ。バーニーは酒場のチンピラを嫌っていたのだろうが、殺されるほどの悪党でもあるまい。このチンピラに同情してしまった。

監督     スコット・ウォー
出演     ジェイソン・ステイサム/シルベスター・スタローン/50セント/ミーガン・フォックス/ドルフ・ラングレン/トニー・ジャー/イコ・ウワイス/ ランディ・クートゥア/ジェイコブ・スキピオ/レビ・トラン/アンディ・ガルシア
ナンバー     4
オススメ度     ★★


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