殺しのナンバー THE NUMBERS STATION
監督 カスパー・バーフォード
出演 ジョン・キャーザック/マリン・アッカーマン
ナンバー 157
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
ランダムな数字に変換した指令を読み上げ短波放送で発信し、ラジオで受信した暗殺者は乱数表で復号してターゲットを仕留めに行く。あらゆるデジタル通信が監視対象となる21世紀において、60年前の素朴な命令伝達方法はかえってユニーク。映画は、暗号技術者の警護担当となった元暗殺者が正体不明のテロリストに襲われ、戦闘経験のない女性と共にサバイバルする姿を描く。地下基地で見つけた同僚の死体、敵の人数も火力も分からず、救援部隊も来ない。そんな悪条件の中、孤立したまま不利な戦いを強いられる主人公の感情を消した振る舞いがクールだ。
暗殺現場の目撃者を殺せなかったエマソンは心理的なダメージを負い、暗号発信基地に異動させられる。ある日、パートナーのキャサリンとともに出勤するといきなり銃撃を受け、地下にある施設に逃げ込むが、そこで切り落とされた手首を見つける。
基地内に立てこもっていた敵は倒した。だが音声記録を再生すると15人の政府要人の暗殺指令がすでに発信されている。キャサリンは撤回命令を発信するためのコードを探り、エマソンは残りの敵の殲滅を図る。ところが、その過程は伏線が張られているわけでもなく、謎を解く楽しみもない。環境に不慣れな相手にトラップを仕掛るなり、個性的な悪党を出現させて一騎打ちするなど話を盛り上げるシーンもなく、これでは間が持たないではないか。せっかく数字をテーマにしているのだから数字を使ったトリックくらいは披露してほしかった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
また夜のシーンや薄暗い室内を舞台にしているため全般的に画面が見づらく、俳優の表情がはっきり読み取れない。その上、主人公を演じたジョン・キューザックの動きがキレに乏しく手に汗握るアクションも皆無。実際のスパイや暗殺者はこの作品のように地味で目立たないのだろう。それでも、もう少し観客にカタルシスを味あわせる設定や見せ場を用意すべきだった。
オススメ度 ★★