こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

曹操暗殺 三国志外伝

otello2014-01-25

曹操暗殺 三国志外伝 銅雀台

監督 チャオ・リンシャン
出演 チョウ・ユンファ/リウ・イーフェイ/玉木宏/アレック・スー/伊能静
ナンバー 12
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

強き者が弱き者を踏みにじり、抵抗する術のない民衆は苦難に甘んじるしかない。世は乱れ、絶え間ない戦乱が続く時代、親を殺され子を奪われ父祖伝来の土地を荒らされる、そんな哀しみに終止符を打つのは、より大きな力を持つものによる武力による天下統一。小さな紛争を繰り返していては決して終わらない、戦争の果てにこそ平和はやってくるのだ。物語は三国時代の英雄・魏の曹操と彼を謀殺せんとする2人の刺客の目を通して、強大な権力による支配が百姓(ひゃくせい)に安寧をもたらすことを説く。一方で、頂点に君臨する者は、腹心や愛妾、実の息子すら信用できない圧倒的な孤独に耐えねばならない。裏切りと駆け引き、明日の命も知れない状況で生き残りを図る人々の希望なき人生が切ない。

幼少時に捕えられ暗殺術を叩き込まれた霊唯と穆順。美しく成長した霊唯は曹操の侍女となり、腕の立つ剣士となった穆順は献帝の宦官となる。2人は曹操暗殺の密命を帯び、チャンスをうかがっていた。

弩から放たれた矢につながれたロープを縦横に走らせ、中空にネットを作って曹操の居城に侵入する。特殊部隊がトランポリンのように網の上を跳ねながら襲撃をかける場面はダイナミックな大胆さに満ち、視覚的にも新鮮だ。また、敵味方多数の兵士が入り乱れ干戈交えるシーンでは、時間を操って剣の動きを鮮やかに再現する。さらに地下トンネルから曹操が登場する壮大な仕掛けには思わず息をのんだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

献帝を意のままに操る曹操を危惧する勢力が次々と暗殺計画を実行しては失敗するのを尻目に、曹操の居城で再会した霊唯と穆順は束の間の愛に心を焦がせる。そして、曹操が乱世を統べる天命を持った英傑であると確信し、自分たちの使命は誤っていたと気づく。ただ、このあたりの展開がやや緩慢で映像からも躍動感が乏しくなる。アクションに特化したほうがよかったのではないだろうか。。。

オススメ度 ★★*

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