こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

セイフ ヘイヴン

otello2013-08-10

セイフ ヘイヴン SAFE HAVEN

監督  ラッセ・ハルストレム
出演 ジョシュ・デュアメル/ジュリアン・ハフ/コビー・スマルダーズ/デヴィッド・ライオンズ
ナンバー 194
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

髪を切って脱色し妊婦のフリをして必死に走る女、バスターミナルで行方をくらました彼女を執拗に探す刑事。一瞬の差で逃げ延びた彼女は遠く離れた見知らぬ町で新しい暮らしを始める。物語は逃亡中の容疑者と思しきヒロインが身分を変えて、新たな恋を手に入れる姿を描く。彼女は許されるべきなのか、愛される資格があるのか。確かにやむを得ず相手を傷つけたのだろう、だがきちんと決着をつけずに未来はあるのか。それらの謎を一枚ずつはがしていく過程は意外性に満ちていた。

刑事の追跡をかわしてボストンから夜行バスに乗ったエリンはサウスポートという小さな町で下車、ケイティと名乗って腰を落ち着ける。そこで雑貨店を営むシングルファザーのアレックスと出会い、彼から自転車をプレゼントされる。

素性を知られたくないケイティには当地の濃密なコミュニティが疎ましく、他人の好意ですら詮索好きの好奇心に思える。そんな彼女の警戒心を隣人のジョーが解き、いつしかケイティは妻に先立たれたアレックスとデートを重ねるようになる。このあたりの展開はあまりにも通俗的で、映画はむしろ海や森などの豊かな自然に恵まれ、住人の気質も穏やかで親切なサウスポートの町の住みやすさを強調する。しかし、刑事が発した指名手配所はサウスポートにも届き、ケイティの安住が脅かされる。やがてアレックスにケイティの嘘がばれるとともに、ケイティと彼女が刺した男、そして刑事との関係が明らかになっていく。中盤からはケイティとアレックスのぬる〜いラブストーリーに緊張感が漂い始め、一気に加速する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方、アレックスは今も先立たれた妻に強い喪失感を抱いている。長男も母への思いは強く、ケイティに対して不快感を隠さない。幼い娘だけはケイティになついていく。ケイティはアレックス一家に時間をかけて接し誠実な人間であることを理解してもらおうとする。ケイティは欠けた家族にふさわしいか。ずっと見守っていた人物の存在がケイティの愛の深さを象徴していた。

オススメ度 ★★★

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