死霊館 The Conjuring
監督 ジェームズ・ワン
出演 ベラ・ファーミガ/パトリック・ウィルソン/ロン・リビングストン/リリ・テイラー
ナンバー 223
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
ノック音や気配で存在を知らせ、時々形になって現れ、最後には憑依して肉体を乗っ取る悪魔。さらに悪魔の犠牲になった人々の霊が成仏できずにさまよっている。物語は、そんな悪意と怨念がこもった郊外の古い一軒家に引っ越してきた一家が直面する災厄と、悪魔祓いに呼ばれた研究者たちの闘いを描く。まだ悪魔祓いが聖職者の独占する宗教的儀式だった時代、悪魔や悪霊憑き事件の実例を収集し、記録し、分析して、超常現象を解明する主人公。科学なのかオカルトなのか、彼自身結論を出せず、試行錯誤しながら対応する。もともと悪魔自体に合理的な発想はないゆえ、“なぜ”という問いは通用せず、すっきりと説明がつかないもどかしさが残尿感のように胸にこびりつく。
林や池に囲まれた新居で暮らし始めたロジャーとキャロリンの夫婦、5人の娘。封印された地下室を見つけたロジャーは奇妙な物音を聞く。翌日から不可解な出来事が家族を襲い始め、キャロリンは悪魔研究者・エドと妻の霊能者・ロレインに調査を依頼する。
死者の霊は場所につき、何か訴えたいことがあるときに姿を見せる。一方で悪魔はただ神の影響下にある人間に害を及ぼすのみ。映画はこの違いを明確にし、霊に対してはロレインの能力を役立たせ、悪魔にはエドのアプローチで攻める。そのあたり、おどろおどろしい効果音や感情を逆なでする音楽に頼るのではなく、ホラーとしては非常におとなしく正攻法な表現。悪魔が発する物理的な音だけを増幅させて、恐怖の質と純度をより高めている。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
やがて、キャロリンにとり憑いた悪魔は本性を露わにし、エドが悪魔祓いを行う。悪魔も様々な反撃を繰り出し、エドとロレインを消耗させていく。クライマックスも目を見張るCGは控えめで、あくまでも“実話”のスタンスで、彼らの体験を映像化する。そこに新鮮な驚きはないが、70年代の作品を見る懐かしさを覚えた。でも、いちばん怖かったのはやっぱり“アナベラ人形”だったな。。。
オススメ度 ★★*