こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

REDリターンズ

otello2013-10-05

REDリターンズ RED2

監督 ディーン・パリソット
出演 ブルース・ウィリス/ジョン・マルコビッチ/メアリー=ルイーズ・パーカー/アンソニー・ホプキンス/ヘレン・ミレン/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ/イ・ビョンホン/ブライアン・コックス/ニール・マクドノー/デビッド・シューリス
ナンバー 241
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

迷彩服に身を包んで現れたかと思えば、狂気の女王になりきり、屈強な男たちを一瞬で屠った後は、ドリフトするスポーツカーから両手を広げて拳銃を撃ち、一撃必殺の狙撃の腕を披露する。おばあちゃんと呼んでも差し支えない年齢のヘレン・ミレン、彼女の背筋はピンと伸び、立ち居振る舞いは敏捷な中にも気品を感じさせる。相変わらずスクリーン狭しと大暴れするブルース・ウィリスに比べ、彼女の優雅な身のこなしはとても新鮮。若さやセクシーさという“女の武器”を超越した境地は、彼女をより魅力的に見せている。

恋人のサラと引退生活を楽しんでいるフランクの元に旧友のマーヴィンが訪ねてきて、新たな仕事に誘う。フランクは断るが、目の前でマーヴィンが爆殺される。ところが、彼の葬儀でフランクはFBIに拘束される。

尋問を受けているフランクの命を狙って傭兵部隊が襲撃して来たり、“世界一の殺し屋”が送り込まれたり、パリのキーパーソンに接触するとロシアの情報部が絡んできたりと、フランクの周りには敵味方が入り乱れ、その都度銃弾の雨が降る。突き抜けた荒唐無稽さはコミックの映画化ならでは、むしろコミカルですらある。さらに、MI6内部の最高レベル監獄からクレムリン宮殿、イラン大使館など、絶対侵入不可の建物にやすやすと忍び込み、目的を果たしていく。もはやフランクたちの暴走を止められる者はなく、映画は米国からパリ、ロンドン、モスクワと猛スピードで世界を駆け巡り、誰が味方で誰が敵で陰謀の本質は何なのかを考える暇を与えない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その過程で、フランクに同行したサラが、銃撃やカーチェイスを体験するうちにスリルジャンキーになっていく。サラの、素人とは思えない大胆で意表を突く行動と機転が時にフランクたちを危機から救い、彼女もまたスキルを磨いていく。このあたりの彼女のブッ飛びぶりも奇天烈で、ロシアの美人スパイともどもおばさんパワーを炸裂させる。男優たちの派手なアクションに加え、女優たちの洗練されたパフォーマンスが満喫できる作品だった。

オススメ度 ★★★

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