最後の晩餐 分手合約
監督 オ・ギファン
出演 バイ・バイホー/エディ・ポン/ペース・ウー/ジアン・ジンフー
ナンバー 11
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
好きで好きでたまらない、でも相手の気持ちを確かめるまでは本心を明かせない。恋の主導権を握りたい男と女、自分の秘密を知られないように巧妙な偽装工作を試みた上で嫉妬させ、お互いの思いを見極めんとする。物語は復縁を約束して別れた恋人たちが確信を持てないまま再会の日を迎え、微妙な駆け引きを繰り返しながら真実に気付いていく過程を追う。一流シェフとフランス帰りの美女、食器デザイナーとイケメンゲイといった、いかにもライトな韓流ラブコメ風の設定は安っぽさが悪目立ちするが、そこで描かれた感情の機微が後半の伏線となって生きてくる構成は、見る者の予想の裏をかくサービス精神に満ちている。
5年前にプロポーズを断ったリー・シンから結婚式の招待状を受け取ったチャオチャオは、上海から北京へ彼に会いに行く。料理人として成功したリー・シンの自信満々な態度に腹を立てたチャオチャオは、ゲイ友人を“恋人”に仕立ててリー・シンを見返そうとする。
婚約者とのウエディングドレス合わせにチャオチャオを同伴するリー・シン。明らかなおジャマ虫なのに、婚約者に興味津々のチャオチャオは遠慮せずついていく。さらに入居前の新居を当てがわれるなど、映画は少し無理のあるエピソードを強引に展開させていく。そして、優しかったリー・シンがいつの間にか傲慢な男になっていると気づいたチャオチャオは、昔の彼を取り戻そうと肉弾戦を挑む。唇を狙うチャオチャオをしなやかな動きでかわすリー・シン、タンゴのごとく身をくねらせるシーンがコミカルだ。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
その後も、手あかのついた仕掛けを意外なオチに結びつけるアイデアでグイグイと引っ張っていく。なにより、リー・シンを傷つけたくないと慮るあまり意地を張ってしまうチャオチャオがいじらしい。リー・シンを愛しているのなら、もっと正直でいい、もっと甘えてもいい、涙を流してもいい。素直に弱さをさらけ出すことができないチャオチャオと、彼女の心をわかってやれなかったリー・シン、ふたりのすれ違う運命が切なく哀しかった。
オススメ度 ★★*