こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アデル、ブルーは熱い色

otello2014-02-01

アデル、ブルーは熱い色 La vie d'Adele - Chapitres 1 et 2

監督 アブデラティフ・ケシシュ
出演 アデル・エグザルコプロス/レア・セドゥー
ナンバー 24
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

一目ぼれとは定められた運命なのか? 街で偶然すれ違った青い髪の女、その瞬間世界は一変し、彼女以外の物も人も色褪せて見える。そして傷ついた心を癒せぬまま苛立ちを抱えているとき青い髪の女と再会、ふたりの出会いはもはや必然と信じるヒロインは急速に彼女の虜になっていく。物語は魅力的な美学生に恋をした女子高生が、同性愛に目覚めセックスにのめり込んでいく姿を描く。男が相手では叶わぬ快感、女同士だからこそ得られる充足、たっぷりと時間をかけて彼女たちの日常に寄り添うカメラはふたりの内面に鋭く切り込み、感情と思考を逃すまいとする。愛だけでは続かない、映像による人間の本質を見つめる作業は、人生の真実を問うかのようだ。小鳥のさえずりが聞こえる草むらに仰臥したふたりが視線を絡ませるシーンがおとぎ話のごとく美しい。

ボーイフレンドと寝ても虚しさが募るアデルは女友達とのキスに興奮を覚える。ある日、ふと入ったレズクラブでエマと知り合ったアデルは彼女の聡明さに惹かれ、どちらからともなくベッドに入る。

全身を愛撫し、お互いの股間に顔をうずめ、性器を口に含んで愛し合うアデルとエマ。より濃厚な快楽を求めて様々な体位を試す。ふたりの絆は深まり、数年の月日を経て同棲に至っている。しかし、レズを公表しているエマとは対照的に、アデルは職場の幼稚園では隠している。さらに文化や芸術に造詣のあるエマの友人たちの会話に入れず孤独を味わうアデル。インテリの親に育てられ向上心にあふれるエマと、小市民的な父親を持ち現状を肯定するアデル、ふたりが過ごしてきた環境の違いが価値観の差を生み、小さな亀裂が広がっていく過程がスリリングで哀しい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

エマの展覧会にアデルはブルーのドレスに身を包んで出席する。それは知り合ったころのエマの髪色、アデルはあの時代に戻りたいと淡い期待を抱いている。エマの絵はアデルをモデルにした刺激的な作品、だが彼女にとっては過去の出来事。そこで吹っ切れたのだろう、ところが、足早に立ち去るアデルをアラブ系青年に追わせることで、愛を求める彼女の彷徨はまだまだ終わらないと予感させる。。。

オススメ度 ★★★★

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