こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

インターステラー

otello2014-11-12

インターステラー INTERSTELLAR

監督 クリストファー・ノーラン
出演 マシュー・マコノヒー/マット・デイモン/アン・ハサウェイ/ジェシカ・チャステイン/ビル・アーウィン/エレン・バースティン/マイケル・ケイン
ナンバー 255
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

乾燥した大地、空を覆う大砂塵、枯れかけた植物。急激な環境変化で滅亡を待つだけの故郷を離れ、新たなフロンティアを求める旅に出る。決して血沸き肉躍る冒険ではない、絶望や死の危険と隣り合わせの試練に何度も直面し、クルーは時に感情をむき出しにする。それは大切な人への思い。物語は、生存に適した惑星を探して他の銀河を彷徨する過程で“人を人足らしめるものとは何か”を問うていく。宇宙船のディテールから遥か土星のリングとワームホール、水の惑星の巨大波、氷の惑星の荒涼まで、実際の観測データを元にした壮大な映像は圧倒的なリアリティで感覚に訴えてくる。そして相対的な時間の流れの中で子供たちが自分より早く年を取っていく現実に、頭では理解していても心は納得できない、そんな主人公の切なさが胸を打つ。

元飛行士のクーパーは娘のマーフが受け取った“メッセージ”に導かれ、NASA秘密基地にたどり着く。クーパーは人類移住計画のパイロットとして科学者のアメリアらとともに宇宙船に乗り込み、先行した調査隊員の救出に向かう。

10年間も飛び続けていたドローンは宇宙における地球の孤独の象徴なのだろう。もはや目的はなく空中をさまようばかり、クーパーの操作でやっと地上に降りてくる。偵察機の役目は終わっても、そこで別の“生き方”を与えられて希望を見出すのだ。同様にNASAは受精卵を撒いて種の保存を考えているが、それは現世代を犠牲にして次世代に未来を託すということ。だが、クーパーは気まずい別れをしたマーフを救いたいと、今を優先させようとする。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてクーパーは重力レンズ効果でリング状に輝くブラックホールに突入する。二次元のスクリーンに投影された五次元の世界は、霊的・哲学的な処理ではなく、あくまでエモーショナルな真実を追求した想像力豊かなイメージ。我が子への愛こそが人間を進歩させる、その普遍的な価値観が心地よかった。ただ、監督がこだわるフィルムではなくデジタルで撮影していれば、もっと精細な宇宙を表現できたと思うのだが。。。

オススメ度 ★★★*

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