余命わずかと宣告された後は、もう何も怖いものはない。ヤクザも、刑事も、死すらも。物語は、逃走する少女を助けたボクサーがドラッグを巡って運命を翻弄される過程を描く。迷惑をかけずに生きてきたつもりだったのに、まったく報われないまま終わる命。偶然出会った少女は自分を必要としている。絶望している暇はない。ならば燃え尽きるまでせめて彼女の力になってやりたい。そう決意した彼は彼女に寄り添い、一夜限りの長い旅に出る。ところがいつの間にか抗争のキーパーソンにされていた少女は、ヤクザのみならず中華系マフィアにも狙われている。陰謀と裏切り、欲望と怒り、愛と復讐。強烈な喜怒哀楽の中にバイオレンスとアクションがちりばめられた映像は、二転三転する若い男女の関係を象徴していた。
ヤクザの加瀬は刑事の大伴にドラッグの横取りを持ち掛け、風俗嬢のモニカを利用しようとするが、大伴はモニカに逃げられる。モニカはボクサーのレオに助けを求め、レオは大伴をブチのめす。
大伴たちだけでなくヤクザたちもモニカの追跡を始め、さらに対立する中華マフィアも加わり戦争状態になる。そうとは知らずレオたちはモニカの実家に向かうローカル線に乗る。加瀬の計画は思わぬところで露見、彼らもまた生き残るチャンスを模索する。静かだった夜が一気に暴走するエネルギッシュな展開は最後までテンションが落ちないままクライマックスに向かう。その間、孤独だったレオはモニカの境遇に共感、モニカもまたレオを頼る。希望の見えない逃避行の中でふたりの距離は縮まっていく。行き場を失くした彼らがお互いに惹かれあっていく過程が切ない。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
大伴らに拉致されたレオとモニカだが、加瀬の兄貴分と中華マフィアの挟み撃ちに会う。そしてホームセンター内で四つ巴の乱闘に発展。モニカと知り合って、初めてボクシング以外に正対する事態が生まれたレオ。モニカもレオに支えられて自尊心を取り戻す。危機に立ち向かう彼らの姿は、人生は自力で切り開くべきだと教えてくれる。
監督 三池崇史
出演 窪田正孝/大森南朋/染谷将太/小西桜子/ベッキー/三浦貴大/村上淳/滝藤賢一/塩見三省/内野聖陽
ナンバー 41
オススメ度 ★★★
↓公式サイト↓
https://hatsukoi-movie.jp/
