こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

サーホー

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謎が疑惑を呼び、アクションが暴力を加速させていく。だれが悪党でだれが善人なのか、裏切りと欺瞞が渦巻くなか、主人公は超然と振舞い圧倒的な強さで立ちはだかる敵をなぎ倒していく。物語は、巨大犯罪組織の後継者争いを背景に、大掛かりな窃盗団が暗躍し、彼らを追う警察の特命班とともに、秘密金庫を開けるための “鍵” を手に入れようと終わりのない抗争を繰り広げる過程を描く。重量感溢れる格闘、しなやかな身のこなしで予想もしない角度からの射撃、渋滞した道路での銃撃戦、刃物や棍棒を使った乱闘、破壊の限りを尽くすカーチェイス、極めつきはジェットスーツによる空中肉弾戦。そこには「映画は娯楽」と割り切った徹底したサービス精神が貫かれている。脚本上の小さな齟齬をいちいち指摘するのはそれこそ野暮の極みだ。

窃盗団摘発のために特命捜査を命じられたアショカは、美人刑事・アムリタと共に容疑者を追う。2人はモニターに映ったひげ面男に接近、ブラックボックスと名付けられたツールが狙われていると知る。

架空都市の犯罪組織を合法的法人に生まれ変わらせた大立役者・ロイが暗殺され、彼の隠し子が町に戻ってきたことから、裏社会でも対立が表面化、三すくみのブラックボックス争奪戦となる。ところが、犯罪組織・警察・窃盗団3グループ合わせると登場人物が非常に多岐にわたり、特に男性キャラは似た髪型で口ひげとあごひげ生やしていて区別がつきにくい。一方で、特命班メンバーの行動に少しずつ違和感を覚えるような伏線を配し、中盤のどんでん返しに持っていく力技には思わず膝を打った。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらにアショカと名乗っていたヒーローが偽装を解きアムリタとの仲がこじれるなど、ストーリーは予想外の方向に舵を切りっぱなし。インド映画らしく時々箸休めのように歌とダンスが挿入され頭の中で整理する時間が与えられるのだが、それでも3時間近い上映時間の間、あまりにも密に詰め込まれた情報量の多さにはたびたび置いてきぼりを食いそうになった。

監督  スジー
出演  プラバース/シュラッダー・カプール/マンディラー・ベーディー/ニール・ニティン・ムケーシュ/ジャッキー・シュロフ/チャンキー・パーンデーデー
ナンバー  70
オススメ度  ★★★


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