こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

囚われた国家

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人々はみな首にチップを埋め込まれ、当局によって監視・管理下にある。危険人物は有無を言わさず排除され、立ち入り禁止エリアに侵入した者は殺される。物語は、異星人によって征服された近未来の地球、自由と解放を求めてレジスタンス運動に身を投じた若者の奮闘を描く。テクノロジーは退化し、新聞広告で合図を出し連絡は直接会うか伝書鳩。一方で統治者と呼ばれる異星人に協力する人間は技術も富も独占し、力なき大衆はより貧しくなっている。現代以上に広がった格差、圧倒的な科学力の差に、もはや一般人は抵抗しても無駄とあきらめている。それでも希望は捨てていないレジスタンスの活動家と関わるうちに、主人公は自らの運命に目覚めていく。国家資本主義の行き着く先のごとき社会、強権による支配の息詰まる日常に寒気が走った。

貧困地区に暮らすガブリエルはレジスタンスリーダーだった兄と再会、地下活動に加わる。さまざまなスキルを持つメンバーを紹介され、統治者と深くつながる副市長を暗殺する実行部隊に加わる。

統治者に与する人々は特権階級となり、繁栄を謳歌している。ガブリエルはスラムのようなに地域住み、テロリストの弟として警察の司令官が常に尾行している。彼が特殊な首輪で発信機の電波を遮断し、レジスタンスの闘士たちとコンタクトするシーンはサスペンスフルで、革命のために命を賭する彼らの息遣いが非常にリアルに再現されていた。ただ、ガブリエルを付け回す司令官がいかにもな設定で、彼が後々どんな役割を果たすかが読めてしまった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、ガブリエルたちは爆弾テロを決行、一定の成果を上げるが当局から追われる身になる。発信器を取り出し死亡を偽装した工作も見抜かれ、ひとりまたひとりと警察の手に落ちていく。弱みを握られたガブリエルもまた司令官との取引に応じてしまう。しかし、その過程での出来事は暗めの映像のせいで詳らかにされず想像で補うしかない。斬新なアイデアも乏しく、過去のSF名作の換骨奪胎とまではいかなかった。

監督  ルパート・ワイアット
出演  ジョン・グッドマン/ベラ・ファーミガ/アシュトン・サンダース/ジョナサン・メジャース/コルソン・ベイカ
ナンバー  71
オススメ度  ★★


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