苦労もあったけれどそれなりに成功してきた。いつの間にか世間からは老人といわれる年齢になった。だが、今でも恋に心をときめかせ、愛で体に火をつけたい。物語は、40年来の親交を続けるアラ70歳の老女たちが、官能小説を読んで若き日の情熱を取り戻していく姿を描く。現役バリバリで働いているキャリアウーマンもいる。夫を再教育しようとする妻もいる。独身に戻った後の生き方を模索する者もいる。彼女たちに共通するのは、行動が日常を豊かにするという人生哲学。そして、セックスへのストレートな欲望。出会うチャンスは目の前に転がっている。反応してこそ現状は変えられるのだ。気心の知れた仲、マウンとの取り合いもなく、忌憚なく辛辣な言葉をぶつけあいつつも相手のことを考えている。そんな女同士の友情がうらやましく思えた。
ダイアン、ヴィヴィアン、シャロン、キャロルの4人は恒例の読書会で若い女の性遍歴を綴った作品を取り上げる。刺激的な内容に夢中になった彼女たちは、それぞれに恋活を始める。
シングルの3人に対し、キャロルは長年連れ添った夫ともうまくいっている。ところが夫が古いバイクいじりにハマると不満を漏らす。夜は同じベッドで寝ても、睡眠しているだけで接触はない。夫をその気にさせようとキャロルはいろいろと作戦を練るが、すべて空振りに終わる。ふたりのすれ違いは滑稽だが、そこには永遠に分かり合えない男女の溝がある。だからこそコミュニケーションを取るべきなのに、ついキャロルは自分の気持ちを押し付けてしまう。“いかにも” なキャラの他の3人に比べ、人の良さそうなキャロルが秘めた自己主張が印象的だった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ヴィヴィアンもシャロンも新たな男との関係に踏み出し、ダイアンも飛行機でナンパしてきた男と家族を巻き込んだ騒動を起こす。ダイアン・キートンは最近の出演作の延長上のような役柄だが、ジェーン・フォンダやキャンディス・バーゲンの勇姿は、ウーマンリブ世代がまだ現役で戦えるパワーを持っていると示していた。
監督 ビル・ホールダーマン
出演 ダイアン・キートン/ジェーン・フォンダ/キャンディス・バーゲン/メアリー・スティーンバージェン/アンディ・ガルシア/ドン・ジョンソン/クレイグ・T・ネルソン/リチャード・ドレイファス
ナンバー 175
オススメ度 ★★★*
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