こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・ハント

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目覚めたら、口枷をかまされて森の中に放置されていた若い女。見晴らしのいい草原に出ると、大きな木箱の周辺に同じように口枷をかまされた男女が10人以上集まってくる。ここはどこなのか、何が起きているのか。まったくわからないまま彼女は口枷を外す鍵を見つける。物語は、狩りの獲物にされた十数人の男女のサバイバルを描く。彼らはなぜこんな目に合ったのか、次第に明らかになっていく過程で、米国富裕層が抱く、ネットで身分不相応な書き込みをする一般市民に対する憎しみが浮かび上がってくる。自由競争の原則でより裕福になる者と格差の底辺に落ちた元中産階級。だが、そんな能書きよりも、主人公だと思った女があっさり脱落し、罠に落ちた女を助けたイケメンもヒーローにはなれない。いったいどう転ぶのか、先が読めない展開にハートをわしづかみされた。

獲物たちが木箱の中の武器を手にすると、急にハンターたちの銃撃が始まる。命からがら森を出てコンビニに逃げ込んだクリスタルは、そこが米国内でないことを見抜き、脱出策を考える。

複数のハンターを倒し獲物仲間と貨物列車に飛び乗ったクリスタルはそこで難民と出会う。検問で東欧に連れてこられたと気づいたクリスタルは米国大使館に連絡を取るが、大使館員も信用できない。あちこちにトラップは仕掛けてあり油断したら即死。嘘をついた者は躊躇せず殺す、用心深いが決断は速いクリスタルが逆にハンターたちをひとりずつ仕留めていく。無駄に巨乳だが銃の扱いも格闘術も洗練されたクリスタルの怒りに燃えた瞳はむしろセクシーだった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてこの狩りの首謀者・アシーナにたどりついたクリスタルは、彼女から事の真相を聞かされる。そして女同士のタイマン。元兵士のクリスタルとトレーニングを欠かさないアシーナのしなやかでスピード感あふれるバトルシーンは、時に優雅で時に破壊的だ。本気で殺し合いをするときは、最後は痛みに耐えて反撃する根性が必要であると、クリスタルのあきらめない姿は教えてくれる。

監督  クレイグ・ゾベル
出演  ヒラリー・スワンク/ベティ・ギルピン/エマ・ロバーツ/アイク・バリンホルツ/ウェイン・デュヴァル/イーサン・サプリー
ナンバー  186
オススメ度  ★★★


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