こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トルーマン・カポーティ 真実のテープ

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同性愛者と公表するにはまだ覚悟が必要な20世紀半ば、若き天才作家はNYハイソサエティの寵児としてもてはやされた。セレブの集まりに夜毎顔を出し、独特の話し方と豊富な話題でたちまち出会った人を魅了する。人たらしと呼ばれる個性は没後30年以上経た今も、彼と交流のあった人々の脳裏に鮮明に焼き付いている。映画は、トルーマン・カポーティを記録した膨大なアーカイブ映像から彼が生きた時代を象徴するシーンを発掘し、彼を直接知る人物のインタビューを加えて、その実像に迫る。後半生のカポーティは奇行が目立ち、ひどい裏切りにあった人も多かっただろう。それでもカポーティとの親交は人々の記憶の中で貴重な体験となり多大な影響を与えている。そんな、全力疾走するかのようなカポーティの人生は輝いて見えた。

19歳のとき衝撃的な作品でデビューを果たしたトルーマンは、その美しい容貌でたちまち世代のアイコンになる。NYに拠点を移すとパーティ三昧の日々、マスコミも彼の動向をこぞって報じる。

トルーマンの養女となったケイトの証言が興味深い。ゲイのトルーマンが、その後実父を恋人にしたというのだ。ケイトはNYでモデルとして活躍するチャンスをトルーマンから与えられたが、現在の様子を見るともうほとんど外見に気を使わなくなっている。トルーマントルーマンなりにケイトを娘として愛していたはず。だが、父を奪ったのも事実。それはケイトのトラウマになっているのは確かだ。トルーマンの他人に対する辛辣な態度は、その後彼が確立したといわれるドキュメンタリーノベルの分野で生かされている。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

「冷血」を成功させたのち「叶えられた祈り」の執筆にかかったトルーマンは、上流階級の下世話なゴシップをほぼ本人が特定できる形で小説にし、社交界を出禁になる。行き場所を失ったトルーマンは酒とドラッグに浸り、TVショーにも酩酊状態で出演する。目に見えて老けたトルーマン。59歳で他界したことは、彼の伝説にこれ以上傷をつくのを防いだのではないだろうか。

監督  イーブス・バーノー
出演  ディック・キャベット/ケイト・ハリントン/ルイス・ラファム/アンドレ・レオン・タリー/ジェイ・マキナニー
ナンバー  193
オススメ度  ★★*


↓公式サイト↓
http://capotetapes-movie.com/