アウトポスト

新しい任地は険しい岩場に囲まれた谷底。敵からは丸見えで身を隠す場所も少なく、格好の的になる。物語は、アフガン山岳部に設けられた前哨基地に派遣された米兵たちの奮闘を追う。油断していると突然銃撃される。迫撃砲で反撃するとしばらくは攻撃が止まる。地元民に協力を求めても長老たちはしたたか。武装勢力は力を蓄えつつある。補給は夜間ヘリによる空輸だけ。増員は望めない。それでも戦場に送り込まれた兵士たちは日々身を危険にさらし上層部からの過酷な命令をこなしていく。銃弾砲弾降り注ぐ戦闘シーンは、ハンディカメラによる長回しのショットの連続。最前線で命を張る兵士たちの息遣いまでをリアルに再現した映像は、まるで戦場にいるような緊迫感だった。圧倒的な数的不利にもひるまず闘い続ける勇気に感銘を受けた。
50人余りの陸軍兵が補給経路の確保のために設けられたキーティング基地を守っている。普段は散発的な攻撃しか受けないが、タリバン兵は少しずつ攻撃の準備を進めていた。
指揮官の性格によって現場の士気は大きく変わってくる。現地の長老たちと積極的に交流しタリバンの情報を得ようとする者、交戦規程を最優先して臆病者と陰口をたたかれる者。それぞれが経験に基づいて指揮を執るが、イラクでの経験は通用しない。撤退命令が出されても期限は延期されるばかりで、いつ国に戻れるかわからない。枕を高くして眠れない日々が何週間も続く肉体的精神的負担が少しずつ積もっていくが、仲間に弱みを見せまいと気を張っている。そんな中、戦うべき大義が見えない戦争に送り込まれた若者たちの、家族を思う気持ちが切なかった。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、視点はあくまで米兵側からで、タリバン兵はシューティングゲームの雑魚キャラのように次々と湧き出てきては撃ち殺されるばかり。米兵たちにはそれぞれ家族との絆や懐かしい思い出があり、ひとりひとりがかけがえのない人間として描かれるのに、タリバン兵は虫けら扱い。米国が正義という思考回路がこの作品にもこびりついていた。
監督 ロッド・ルーリー
出演 スコット・イーストウッド/ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/オーランド・ブルーム/ジャック・ケシー/ジョナサン・ヤンガー
ナンバー 48
オススメ度 ★★*