こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・スイッチ

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いじめっ子はカチンコチン、パワハラ教師は縦に真っ二つ。中身が違うと知らずに彼女に近づいた人々は意外な展開に戸惑いながら、後悔する間もなく命を落としていく。物語は、古代文明の秘宝が持つ魔力で殺人鬼と精神が入れ替わった女子高生が、己の肉体を取り戻すために奔走する姿を描く。日付が変わるまでに魔剣を突き刺さなければ入れ替わったまま。大男の肉体になってパワーアップしたけれど、指名手配中で目立った行動はできない。親友たちの力を借りて自分の外見をした殺人鬼を探す途中、母の思いを知ったりもする。一方で、追いかけてくる警察官は実の姉。大男が乙女の仕草、女子高生が悪意を瞳にたたえるという、まるでコメディのような設定は怖さよりおかしさがこみあげてくる。やっぱり男は女の体になったとき、最初に胸のふくらみを確認するものなのか。

スクールカースト下位のミリーは学校ではいじられ、家では依存症の母に困惑している。アメフト試合応援の帰り、伝説のブッチャーに襲われ魔剣で胸を刺されると、翌朝見知らぬ場所で目を覚ます。

ブッチャーはミリーの部屋で目覚め彼女の家族を襲おうとするが、獲物を求めて登校する。ミリーも親友のナイラとジョシュに連絡を取ろうと高校に行く。ブッチャーはミリーの体に体力的な不満を持つが容姿のメリットを生かしさっそく本能を全開させる。あっさりとは殺さない、犠牲者の死体は彼にとって至高の作品。ブッチャーが見せる殺害方法の数々は、予想したオチを上回るアイデアに満ち、飛び散る血しぶきすら芸術的だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

イケイケルックで高校のパーティに乗り込んだブッチャーはそこでも獲物を物色、魔剣を回収したミリーたちも会場に乗り込む。その過程で、ミリーは思いを寄せる男子生徒とラブラブになる。イケメン男子とごついおっさんのキスは、心は純粋だが行為はキモい微妙な構図。笑いたいけど笑えない絶妙のシーンだった。時計を5分進めておけば時間に遅れないというのはいざというときに役に立つ教訓だった。

監督  クリストファー・ランドン
出演  ビンス・ボーン/キャスリン・ニュートン/アラン・ラック/ケイティ・フィナーラン/セレステ・オコナー
ナンバー  67
オススメ度  ★★★


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