くれなずめ

いつもつるんでいた。結束は固かった。卒業して10年以上もたつのに仲間たちの記憶は色あせない。物語は、友人の結婚式で久しぶりに集合した高校時代の6人組が、真実から目を背けながら思い出に浸る姿を描く。別にやせ我慢しているわけではない。悲しみを隠しているわけでもない。6人でいることが彼らにとってはごく自然なこと、その思いを各人が共有しているだけなのだ。社会に出て責任のある立場にいる者もいる、家庭を持ち落ち着いている者もいる、いまだ夢を追っている者もいる。もう若くはないけれど,あきらめるほど老け込んではいない30歳のリアルな気持ちが活写されていた。自分を覚えていてくれる、そして時々思い出してくれる。人は己の人生だけでなく、感情を揺さぶる体験を共有した他人の心にも生きているとこの作品は訴える。
披露宴の余興で高校文化祭での赤フン踊りを再現した元男子6人組は、二次会までの時間つぶしに故郷の町をぶらつく。その間話題に上るのは、吉尾にまつわるエピソードばかりだった。
特に部活に打ち込むでもなく、たまたま気が合ってじゃれ合っていただけの6人。共通の思い出は文化祭での赤フン踊り。その経験は彼らの友情をより強固にし、現在の基礎にもなっている。そして再会した時にもう一度あのころのような無邪気さを取り戻す。実は1人足りないのに、足りない1人を含めて足りないことに気づかないふりをしている。そんな、彼らが大騒ぎするほどに、その喪失感が浮き彫りにされていく構成は、過ぎ去った青春時代への憧憬に満ち溢れていた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
まだ元気に生きているかのように扱われる吉尾。成仏できないほどこの世に未練があるわけでもないが、やはり残された友人たちの思いが彼を引き留めているのだろう。前半、やたら長まわしのショットで彼らがはしゃいでいるだけの映像を延々と見せられ、その後の展開を少し心配した。ところが、吉尾の死が明らかになった後も変に湿っぽくならず、コメディ仕立てにまとめあげたところが非常に好感を持てた。
監督 松居大悟
出演 成田凌/若葉竜也/浜野謙太/藤原季節/目次立樹/高良健吾/飯豊まりえ/城田優/前田敦子
ナンバー 87
オススメ度 ★★★
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