こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

クワイエット・プレイス 破られた沈黙

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突然青空に火の玉が出現し、音に反応する怪物が街に現れる。敏捷な動きとわずかな人為音を聞き分ける超絶聴覚で人間を食い散らかし、生き残った人々は沈黙の中での生活を強いられる。物語は、怪物に支配された世界で希望の島を目指す母子一家のサバイバルを描く。手話でコミュニケーションをとる。生まれたばかりの赤ちゃんは防音箱に隠している。息をひそめるようにして暮らしていた彼らは住むところを失い、放浪の末に知人の男に助けてもらう。だが、彼はもはや意欲をなくし自分のことにしか興味はない。ところが、絶望的な状況でも冷静に周囲を観察し怪物の弱点を見つけようとする長女は、ひとりで旅に出る。一歩ずつ気を付けながら足を進める、絶対に音をたてないように長い道を行く姿は緊張感に満ち、息が詰まり心臓が止まりそうになった。

ラジオから流れてきた音楽で生存者が安全を保障された島を特定したリーガンは、解決策を思いつき彼らのもとに向かう。リーガンの後を追うエメットも彼女に協力、2人は波止場にたどり着く。

母親のエブリンは息子のマーカスとともにリーガンの帰りを待つが、その間マーカスの短慮で怪物に存在を知られてしまう。怪物の恐ろしさを十分に理解しているのに好奇心に負け、勝手に動き回って無用な危機に陥るのだ。そしてエメットも気力を失った男。一方のエブリンは家族の大黒柱として3人の子供を守りながら育て、リーガンは明晰な頭脳と断固たる決断力・行動力を備えている。ふた昔前の男女の役割を逆転させた、女は強く賢く男は弱くて愚かという設定。必要以上にフェミニズムに媚びた展開が鼻についた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、どんなにあやしてもやはり赤ちゃんは鳴き声を出す。舗装されていない道や廃工場などでは先の尖った石ころや金属片が転がっていないはずはなく、はだしで歩くのは自殺行為だ。怪物よりも、エブリンたちが足の裏に大けがをしないかが気になって仕方なかった。それもまた異様なほどのテンションをさらに高める要因にはなっていたが。。。

監督  ジョン・クラシンスキー
出演  エミリー・ブラント/キリアン・マーフィ/ミリセント・シモンズ/ノア・ジュプ/ジャイモン・フンスー/ジョン・クラシンスキー
ナンバー  112
オススメ度  ★★*


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