こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ヴォイス・オブ・ラブ

f:id:otello:20220108125120j:plain

生まれた時から音楽に囲まれていた。幼いころから大人の前で堂々と歌って見せた。プロデューサーに売り込んだら即決でデビューさせてもらえた。物語は、カナダの田舎町で暮らす大家族の末娘が世界的な歌手に成長する過程を描く。20歳以上も年も離れた男に恋をした。母の過干渉にイラつくこともあった。声が出なくなり公演をキャンセルしたりもする。それでも彼女の歌声は聴衆の心をがっちりとつかみ取り、新曲をリリースするたびにファンを熱狂に包んでいく。大きな挫折があったわけではない。アーティストと家庭を両立させるための葛藤も控え気味。豪邸とステージを往復するだけの日々にどっぷりとつかったヒロインがひとりで街を歩き “無名の一般人” を楽しむシーンが、一つの生き方しか知らなかった彼女の孤独を象徴していた。

音楽プロデューサー・ギィに認められたアリーヌは歌だけでなく英語やダンスのレッスンに励む日々。やがてカナダ国内で有名になり、初の海外ツアー・パリ公演は大成功を収める。

母の猛反対を押し切ってギィとの年の差婚を成就させたアリーヌ。楽しい新婚旅行が終わっても、相変わらずギィは精力的・献身的にアリーヌのマネジメントをしてくれる。公開番組で結婚生活について聞かれ、長々とのろけ話を披露するシーンがほほえましい。その後、不妊治療を始めるが、大ヒット映画の主題曲で大きな賞を取ったことから名声は確定的になる。このあたり、彼女がどんな努力をしたのか、母をはじめ家族をどうやってコントロールしたのか、結婚生活でギィの違う一面が見られたとか、どんな不妊治療をしたのかといったディテールがほとんど掘り下げられず、ただ彼女の人生の表層をなぞっただけ。深い共感を得られるエピソードはなかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

また、12歳のアリーヌを1964年生まれの女優が演じているのには、強烈な違和感を通り越して笑ってしまった。深いほうれい線、目元の小じわ、張りのない肌etc. クラスにこんな女児がいたら、先生も同級生も引いてしまうのではないか。。。

監督     バレリー・ルメルシエ
出演     バレリー・ルメルシエ/シルバン・マルセル/ダニエル・フィショウ/ロック・ラフォーチュン/アントワーヌ・ベジナ
ナンバー     3
オススメ度     ★★


↓公式サイト↓
http://www.cetera.co.jp/voiceoflove/