こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ポプラン

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股間にあるべきものがきれいになくなっている。おしっこがきちんと排泄できない。秘書に相談しようとしても相手にされない。物語は、突然消失した己の性器を探す男の奮闘を描く。怪しげなQRコードをたどると同じ症状の男たちが集まっている。そこで知らされた、消失の回復法。巨大な捕獲網と疑似性器を手に入れた彼は、過去に決着をつけるための旅に出る。かつて自分が追い出したパートナー、捨てた妻子、けんか別れしたままの両親。一応成功した事業者として認知されている男は、今まで傷つけた人々がかかわっている場所にヒントが隠れていると教えられ、気まずい思いを抱えながらも会いに行くがやっぱり煮え切らない。そんな、非常に安易な発想が安易な展開で肉付けされていく映像は安っぽい。もっと脚本を練りこむ余地があったはずだ。

マンガ配信サイトの社長・田上はパーティで知り合った女と一夜を過ごす。翌朝目を覚ますと性器がなくなっていることに気づき、慌てて駆け込んだ病院で奇妙なイラストをもらう。

本体から分離した男性器はポプランと呼ばれ、高速で飛翔し、6日以内に捕獲しなければ元に戻らない。暗い地下室に集められたポプラン消失者たちは各々自分のポプランを捕まえようと散っていく。そこで知り合った捕獲失敗者からアドバイスをもらうのだが、記憶を検めるうちに田上はいかに自分が身勝手だったかを思い知る。「自分が誰か思い出せ。」という色紙に込められた思い、かつて純粋に成功を願っていたころの自分に対し、今の自分は恥じることはないかと問うこの言葉は、謙虚さを忘れてはならないという教訓だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、田上が優秀なワンマン経営者なのは理解できるが、部下のプレゼンをあしらう以外にエピソードはない。かつて志を共にした元共同経営者とのトラブルも方針の違いという以外の説明はない。妻子との別離や両親との葛藤に至っては言葉による解説すらない。このあたりのディテールに突っ込んでこそ、田上という人物のキャラクターが浮かび上がってくるのだが。。。

監督     上田慎一郎
出演     皆川暢二/アベラヒデノブ/徳永えり/しゅはまはるみ/井関友香/原日出子/渡辺裕之
ナンバー     13
オススメ度     ★★


↓公式サイト↓
https://popran.jp/
DATE     22/1/18