こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

L.A.コールドケース 

米国西海岸と東海岸、双方を代表する人気ラッパーが相次いで殺された。ライバル同士の抗争かと思われた2つの事件は、LAPDに潜む深い闇をあぶりだしていく。物語は、双方の事件にかかわった事件記者と元捜査担当刑事が真相を暴くべく奔走する姿を描く。事件からすでに20年近く経っている。元刑事は警察を離れたのちも独力で調査を続行している。彼こそが真実に迫る鍵と信じた記者も粘り強く当時の情報を洗い直す。そこで明らかになっていくのは信じられないほどの腐敗ぶり。潜入捜査官がいつしかギャングの警護やパシリになり私腹を肥やしている。上層部も黙認している。上司や同僚までがギャングにつながっていると疑わなければ、足元を掬われかねない。そんな状況でもあきらめない元刑事の執念がすさまじい。

公道上でチンピラ同士の銃撃戦が起き、白人が黒人を射殺する。身元を確認すると2人とも警察の潜入捜査官で、黒人ラップ音楽レーベルや麻薬取引と関連があった。

この事件を担当したプールは、細い糸を手繰り寄せるように地道な聞き込みを続けていく。その過程で、FBIの潜入捜査官からネタをもらったり、現役警官が銀行強盗の主犯だったりといったりという事態に直面する。だが、さらに捜査を進めようとしても上層部から止められる。黒人警官はみなギャングに見える。白人の私服刑事からは疎まれる。汚職がはびこる警察内部で孤立したプールは、もはや自分が何をしているのか自信を持てなくなっていく。絶望と無力感、それでも刑事の矜持を捨てられないプールの孤独を、ジョニー・デップが繊細に再現していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

事件の背景は複雑で登場人物も多く、1人の人物に3通りもの呼び名があるなど、ただでさえ過剰な情報が整理されていない。加えてプールと記者が協力する「現在」と、1990年代に起きた多数の事件のエピソードが交錯する非常にわかりづらい時系列。これらの事件に対する詳細な予備知識と相関図を予習しておかなければ理解できないだろう。すっきりと編集できなかったのか。

監督     ブラッド・ファーマン
出演     ジョニー・デップ/フォレスト・ウィテカー/トビー・ハス/デイトン・キャリー
ナンバー     146
オススメ度     ★★*


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