こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

デュアル

難病で余命幾ばくも無いと宣告された女は己のクローンに人格を移植しようとする。だが完全なコピーにはならず、クローンは自我を持ち始める。物語は、クローンに乗っ取られた人生を取り戻そうとするヒロインの奮闘を追う。遺族の悲しみを和らげるという宣伝文句をハイテク企業は謳う。唾液を採取するだけで、1時間ほどで自分とそっくりな生命体が出来上がる。知性も感情も備えているが、細かい部分は教えなければならない。いつしかクローンは本体の欠点を克服し、恋人も実母もクローンを愛するようになる。すっかり立場を奪ったはずのクローンが、煩わしい人間関係を本体に愚痴るシーンが笑えた。かなり強引な設定はついていけない部分もあるが、クローンにも本体同様の人権を認めるべきという点は一考に値する。

医師の勧めでダブルと呼ばれるクローンを作ったサラだったが、難病が寛解してダブルを処分することになる。だがダブルは拒否、1年後にどちらが生き残るか決闘で判断するという法に従う。

ダブルは健康的な肉体と快活な性格を持ち、だらけた生活をしていたサラとは大違い。決闘に勝つためにサラはコンバット道場に入門、厳しいトレーニングを積む。体力作りから始め、銃やナイフといった武器の扱いや格闘技を身に着けていくうちに見違えるように引き締まる。さらに人体の構造まで研究し確実な殺人術をマスターしていく。肉体だけでなく精神まで鍛え上げたサラだったが冷血にはなれない。老犬を射殺せと言われた時に見せる表情が人間的だった。ただ、その直後の行為は許されるのだろうか?

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、天気の影響で決闘の日が1か月延期される。その間のダブルの生活費をサラが負担しなければならないが、もうすっかり貯金は使い果たしている。そもそものクローン技術でも多額のローンを組んでいるサラ。観客に公開した上、TVでライブ中継までするのなら、主催者にとって決闘は優良コンテンツのはず。命がけで闘う当事者には多額の報酬が支払われてもいいのではないだろうか。

監督     ライリー・ステアンズ
出演     カレン・ギラン/アーロン・ポール/ビューラ・コアレ/テオ・ジェームズ
ナンバー     191
オススメ度     ★★


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https://dual-movie.jp/