ずっと家族だと思って暮らしてきた。日常生活のあらゆる状況で頼りにしてきた。だが、彼は突然停止してしまった。物語は、修理不能になった人型ロボットの記憶をのぞいてしまった男の苦悩を描く。新品として買ったわけではなかった。なんらかのスパイウェアが仕込まれている可能性もある。本体の核となる部品をいじるともう元に戻せなくなるという。そして現れた謎の女。人間によって創造されたのに、いつしか人間の能力を凌駕してしまったモノたちに、「権利」はどこまで認められるべきなのか。規制しなければ人類は未曾有の危機に直面するのではないか。人間に似て非なる存在として作られ喜怒哀楽をプログラムされたマシーンや、コピーとして生まれた生物の哀しみが静謐なトーンの映像で表現されていた。
AIロボット・ヤンが起動しなくなる。ジェイクは修理店を回るが新品を薦められるばかり。研究者のもとに持ち込み、ヤンの心臓部にあたるメモリを取り出す決意をする。
メモリの中にあった自分たち家族の記録だけでなく、以前仕えていた女の情報にもアクセスするジェイク。そこにいた金髪の女が現実世界にいると知ったジェイクは彼女を探す。隣家の男がクローンを娘にしていることに嫌悪感を覚えていたジェイクは、金髪女が死んだ元の持ち主のクローンと知って少なからずショックを受ける。ロボットは受け入れてもクローンとは距離を置きたいジェイクの気持ちは、命の有無が関係しているのだろう。ロボットという無機物とクローンという有機物。あくまでロボットは機械と割り切っていたジェイクも、血が通い感情もあるクローンに対しては一応「人間」として節度を持って接している。頭では理解していても心がついてこないその矛盾をコリン・ファレルがリアルに再現していた。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
眼鏡型のディスプレイにヤンのメモリを再生する過程は、遥か宇宙の深淵を旅する宇宙船の視点のような神秘的な趣をまとう。ここで描かれた未来は、もはや人類が生態系の頂点ではないディストピアのようだった。
監督 コゴナダ
出演 コリン・ファレル/ジョディ・ターナー=スミス/ジャスティン・H・ミン/マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ/ヘイリー・ルー・リチャードソン
ナンバー 200
オススメ度 ★★★*
↓公式サイト↓
https://www.after-yang.jp/