こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

RRR

歌が上手な幼女を小銭で買い取ったり、1発の銃弾は現地人の命よりも価値があると言ったりする。植民地を支配する白人宗主国の驕り、踏みにじられた現地人の怒りは莫大なパワーとなって爆発する。物語は、理不尽に連れ去られた妹を取り戻すために闘う決意をした戦士と、彼の親友となったエリート警官の葛藤を描く。狼や虎を相手に素手で格闘する戦士はジャングルに住む部族では英雄扱いされている。一方、たったひとりで数百人の暴徒を相手に乱闘して容疑者を逮捕したのに人事査定で差別された警官は、その悔しさを武器にさらなる努力を重ねる。そんな2人が白人優越主義者の前で披露するダンスはダイナミックかつエネルギッシュでユニーク。洗練された西洋のステップを完全に凌駕し、生命の輝きと魂の鼓動を圧倒的な迫力で再現していた。

インド総督の妻に拉致されたマッリを探して都会に出てきたビームは、正義感の強い警官・ラーマと出会い友情を結ぶ。首尾よく総督府のパーティに招待されたビームはマッリの無事を確かめる。

総督府はビーム探しをラーマに命じるが、ビームの顔を誰も知らない。ラーマはビームの正体を知らないまま彼との交流を深めていく。もし2人が戦えばどちらが強いかという興味を盛り上げる演出は非常にベタなのだが、観客の期待を膨らませワクワク感を刺激し続けるサービス精神には敬服する。その後、ビームこそが追いかけていたテロリストと知ったラーマは非情な決断をする。男同士の信頼以上に重要な大義に命を懸けるラーマの苦悩を歌と大げさな感情表現でわかりやすく展開させた映像は、エンタテインメントの精神が徹底されていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ビームを捕らえたラーマは、彼を拷問にかける。血だらけになってもビームは誇りを失わない。やがて時の到来を悟ったラーマも行動に移す。その間に繰り広げられるアクションは荒唐無稽ゆえの楽しさに満ち、3時間近い上映時間まったく退屈しなかった。パーティ会場で流れていた音楽は「クワイ川マーチ」の原曲だったのか。。。

監督     S・S・ラージャマウリ
出演     N・T・ラーマ・ラオ・Jr./ラーム・チャラン/アジャイ・デーブガン/アーリアー・バット/シュリヤー・サラン/サムドラカニ
ナンバー     199
オススメ度     ★★★*


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