こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フラッグ・デイ 父を想う日

幼かった私をいつも楽しませてくれたパパ。平凡な日常にきらめきをもたらしてくれたパパ。でもパパは犯罪者の汚名を着たまま死んだ。物語は、一組の父娘の愛情の変遷を描く。あまり帰ってこなかったけれど、家にいるときは目いっぱいかわいがってくれた。育ててくれたママよりもパパと過ごす方が刺激的だった。新しい商売に手を出してはいつも失敗していたけれど、落ち込んだ姿は絶対に見せなかった。保険金詐欺に手を出していたのも知っていたけれど、ベッドにもぐりこんでくる継父よりはましだった。だが、成長し世界が見えてくるにしたがってパパとの思い出が色あせていく。本当はろくでもない大人だったパパへの失望が大きくなっていく。娘の、そんな切なさと寂しさがノスタルジックかつ情感豊かに再現されていた。

警察に呼び出されたジェニファーは、父・ジョンのことで事情聴取を受ける。大量のニセ札を流通させた罪で長期刑を言い渡されていたが、ジェニファーはジョンが大好きだったと答える。

しょっちゅう引っ越していたのは追跡をかわすためだったのだろう。ガラの悪い男たちに詰め寄られていたのはノルマの取り立てだったのだろう。ハイティーンになったジェニファーは家出してジョンの家に転がり込み一緒に仕事を探したりもしたが、彼女はジョンがまともな仕事に就いたことなどないと感づいていく。パパを信じたい、だが現実を理解できる年ごろになったジェニファーは良心と愛の板挟みにあって葛藤する。あくまでジェニファーの前では立派でいようとするジョンの空回りする奮闘は、娘の成長を受け入れられない父親の哀しみに満ちていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジェニファーは大学卒業後念願のジャーナリストとなって多忙な日々を過ごす。その間、服役中のジョンからの連絡は無視していたが、出所したジョンが突然訪ねてくる。もはやジェニファーにとって迷惑でしかないジョン。それでも絆は断ち切れない。ジャガーを巡るエア電話が、ジョンのジェニファーに対する「申し訳のなさ」を象徴していた。

監督     ショーン・ペン
出演     ディラン・ペン/ショーン・ペン/ジョシュ・ブローリン/ノーバート・レオ・バッツ/デイル・ディッキー/ホッパー・ペン/キャサリン・ウィニック
ナンバー     237
オススメ度     ★★★


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