こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マジック・マイク ラストダンス

一度は叶えた夢も経済の破綻で泡と消えた。日雇い労働でその日暮らしをするしかない。そんな時舞い込んだチャンス。物語は、かつて男性ストリッパーとして名をはせたダンサーが資産家の女に気に入られ、再起を期して奮闘する姿を描く。女は彼を買おうとした。とんでもない金額を吹っ掛けたのに、あっさり了承された。ここで相手を満足させられなかったらプライドが許さない。全身全霊あらゆるテクニックを駆使して彼は交合することなく彼女をエクスタシーに導いていく。太いがしなやかな筋肉はパワフルかつ繊細。柔軟な体はアクロバティックな体位にも適応し、彼女は自分に向けられたパッションに我を忘れる。チャニング・テイタムはじめ、ダンサーたちの鍛え上げられた肉体から発散されるフェロモンにむせびそうになった。

セレブのパーティでバーテンをしていたマイクは、マックスに声を掛けられ「売り」を持ち掛けられる。彼女の眼鏡にかなったマイクはロンドンの劇場に演出家として招かれる。

自ら所有する劇場が古い価値観のまま停滞している現状を打破したいマックスは、芝居よりも男性ダンサー中心のショーに模様替えしようと計画している。イタリアから有名ダンサーを招き、街頭ダンサーをスカウトし、オーディションで適性を見る。各々のダンサーが激しくキレのある動きを見せつつもオリジナルかつ高度なテクニックを見せるシーンでは、彼らの圧倒的な身体能力の高さに目を見張った。何かを表現するというよりも限界に挑むある種のストイックさは、もはやアスリートの域に達していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

集められたダンサーに女優をひとり加え、稽古を続けるマイク。その間、マックスの反対意見や当局の嫌がらせを受ける。独身担当官の心をほぐすためのバス内パフォーマンスは、ソダーバーグらしいエスプリに満ちていた。そして、ひとりの女が愛と希望に満たされていく構成に昇華させたステージは、おばさんたちの心をわしづかみ。チャレンジこそが人生を成功に導く秘訣とこの作品は教えてくれる。

監督     スティーブン・ソダーバーグ
出演     チャニング・テイタム/サルマ・ハエック/アユブ・ハーン=ディン/ジェメリア・ジョージ/イーサン・ローレンス/ジュリエット・モタメッド
ナンバー     43
オススメ度     ★★★


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