こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り

追い詰められた魔法使いが呪文を唱えると、床にあったモノは天井に落ちる。室内にいた人も上方に落下していく。天窓を突き抜けた者は空に吸い込まれていく。重力を反転させる魔法を発動させるシーンは目くるめく浮遊感を体感させてくれる。物語は、裏切りにあった男女の盗賊が仲間を集め武器を手に入れ復讐を果たそうとする姿を追う。口達者で頭の回転が速い男。腕力が強く武芸に秀でた女。自己評価の低い半人前の魔法使い。人間嫌いの半人少女。超人的なパワーを誇るキャラはひとりもいない。それでも力を合わせて強力な邪悪に立ち向かう過程は、友情と信頼、そしてお互いに助け合う大切さを教えてくれる。勇気と希望を育み共に成長していく旅は、まさにRPゲームの王道だ。科学より魔法が信じられていた中世欧州風のディテールが異世界にいざなってくれる。

脱獄したエドガンとホルガは領主となったフォージに会いに行くが逆に殺されかける。なんとか脱出した2人はサイモンとドリックを仲間にしてフォージの陰謀を止めようとする。

まずは魔法破りの兜を手に入れるために、4人は聖騎士・ゼンクのもとに向かう。ルックスも身なりも完璧であらゆる徳を備え武芸も達者、まさに完璧な男ともいえるゼンクの前ではエドガンはただのチンピラ、ホルガは荒くれ者にしか見えない。それでもゼンクはそんな彼らを見下すことなく兜のもとに導いてくれる。男として、いや人間としてあまりにも出来のいいゼンクを前にしたエドガンの反応はコミカルなあきらめの境地、凡人は圧倒的な人間力の差を見せられると相手を尊敬するよりもむしろ卑屈になると訴える。若くして伝説になった大谷翔平のスキャンダルを週刊誌が血眼で追っている現象に通じるものがある。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

フォージ主催の迷路脱出ゲームに参加するエドガンたちは、度重なる危機をチームワークで乗り越えてフォージを追い詰める。だがラスボス・ソフィーナの登場で一転窮地に陥る。ソフィーナを演じたデイジー・ヘッドの悪魔的な美しさが印象的だった。

監督     ジョナサン・ゴールドスタイン/ジョン・フランシス・デイリー
出演     クリス・パイン/ミシェル・ロドリゲス/ジャスティス・スミス/ソフィア・リリス/レゲ=ジャン・ペイジ/クロエ・コールマン/ヒュー・グラント/デイジー・ヘッド
ナンバー     60
オススメ度     ★★★


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