こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室

パニックになっているけが人の前にさっそうと現れて名乗る男。もう心配ないと穏やかに声をかけて安心させ、決して慌てる様子は見せない。それでも部下への指示はテキパキと、手はせわしなく動かしている。物語は、事件事故災害現場に急行し救命措置の必要な患者に手術を施す緊急医療チームの活躍を描く。病院にまで搬送すると手遅れになる。だがすぐに応急処置を施せば命は助かる。どれほど大規模なアクシデントでも死者を出さないことをモットーに日々危険を顧みず活動に邁進する医師・看護師の熱意は超人的だ。一方で、自分の安全をまず考えないと多くの患者は救えないと合理的な考え方をする医師もいる。感情か理性か。ひとりの命か大勢の安全か。実践か理論か。二者択一を迫られてもそれを拒否し、あくまで自らの信念を貫く主人公の意志は神の領域に達していた。

横浜の超高層ビルで放火テロが発生、上層階に大勢の観光客が取り残される。脱出路は非常階段のみ。東京MERの喜多見と彼のスタッフは展望フロアまで階段を駆け上がる。

現場には厚労省主導で創設された横浜MERも駆けつけ、東京都知事直轄の東京MERとさっそく主導権争いが始まる。横浜のチーフ・鴨居は米国帰りのエリートで直情型の喜多見とは相いれない。それでもそこはプロ、お互いに大人の対応で目の前の大惨事で被害を受けた人々の治療に取り掛かる。でもやっぱり、救助は救助のプロに任せた方が現場はうまく回ると思う。それを言っちゃあおしめぇよう、なのかもしれないが。あと、ランドマークタワーと言えば神奈川県庁・横浜市役所のおひざ元なのに、なんで横浜MERの到着が東京MERより遅いのだろう。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後、新たな爆発が起きたり、スプリンクラーや排煙装置が稼働しなかったり、臨月の妻が産気づいたりと、危機また危機の波状攻撃が喜多見を襲う。燃え盛る炎が迫っても、喜多見は防火服など着なくても熱さは気にせず、ひたすら目の前の命を救おうとする。心頭を滅却すれば火もまた涼しというが、喜多見の精神力には脱帽した。

監督     松木
出演     鈴木亮平/賀来賢人/中条あやみ/要潤/小手伸也/菜々緒/杏/鶴見辰吾/仲里依紗/石田ゆり子
ナンバー     80
オススメ度     ★★


↓公式サイト↓
https://tokyomer-movie.jp/