こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE

あらゆるデジタル機器を通して人類の運命を左右するほどの力を持ったAI。それを制御できる鍵を得た人間は全知全能になる。物語は、2本で1体になる鍵を巡って様々な組織や個人が合従連衡と対立を繰り返しながら真実に近づいていく過程を描く。砂漠の銃撃戦に始まり空港での追撃戦、ローマでのカーチェイスベネチアでの格闘、オリエント急行での決闘まで、息つく間もなく繰り広げられるアクションの数々は瞬きする暇を与えない。今回、主人公に絡んでくる女は4人、誰が敵で誰が味方か、誰が裏切り者でだれが協力者か。きちんと見極めながらストーリーを追わないと思わぬ陥穽に落ちる。借りをきちんと返す女がいちばん魅力的だったが。あらゆる場面が壮大なスケールで非日常を体感させてくれる、これぞ映画の醍醐味だ。

2本の鍵の回収を命じられたイーサンは女殺し屋・イルサから1本を手に入れる。2本目の取引場所となった空港でスリのグレースを仲間に引き入れようとするが、あっさり逃げられる。

鍵を巡ってはさらにガブリエルの組織や武器商人のホワイトウィドウ、CIA工作員がイーサンの前に立ちはだかる。誰もが鍵の重要性を認識しているが、差し込むべきカギ穴がどこにあるのかは知らない。このあたり、その本質よりも、みんなが血眼になって追いかけているから自分も競争に参加し、勝利者になりたいという人間の欲望が丸出しになって興味深い。だがイーサンやCIA工作員は十全な力を独占すべきではないと考えている。テクノロジーがどれほど洗練されようとも自由と民主主義は絶対に守らなければならない、目まぐるしい展開の中にもそんな米国人の信念が貫かれていて、我々が選ぶべき価値観は何なのかを教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

そして、爆破された橋で次々と谷に転落する客車からグレースとともに脱出を試みるイーサンの奮闘は、映画史に残るスリルの波状攻撃。観客を楽しませる、トム・クルーズの神がかったサービス精神には素直に感謝するしかない。まあ、いきなりあごをつかまれたら怒るだろうな。。。

監督     クリストファー・マッカリー
出演     トム・クルーズ/ヘイリー・アトウェル/ビング・レイムス/サイモン・ペッグ/レベッカ・ファーガソン/バネッサ・カービー/イーサイ・モラレス/ポム・クレメンティエフ/ヘンリー・ツェーニー
ナンバー     135
オススメ度     ★★★★


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